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2006年2月 2日 (木)

Rumours

Fleetwood_mac_rumours 129日のBest Hit USAのタイムマシーンのコーナーでは、1983年にスティーヴィー・ニックスが、レコード会社宣伝マンと結婚した日に当たるということで、フリートウッドマック「ホールド・ミー」の懐かしいビデオが流れました。

僕が初めて自分の小遣いで買ったレコードは、このフリートウッドマックの名盤「噂」Rumoursだったんです。

正確には、1976年当時は自由に使える機械はラジオカセットだけだったのでカセットテープを買いました。LPレコードが2500円になる直前の2300円でした。その後、LPレコードでも買い換えましたし、CDの時代になったら割りと早く買い換えてしまいました。更に、最近出た、アウトテイクが多く入ったリマスター盤も買ってしまいましたから、同じものに最も金をつぎ込んでいて、ひょっとしたら今までで最も聴いたレコードかもしれません。「無人島への一枚」になるかな?

Fleetwood_mac_rumors_classic_albums そして更に、名盤が作られた裏側のドキュメンタリーシリーズで、この「噂」を扱ったDVDも手に入れました。

克也さんも、このグループは全盛期当時から、メンバー同士が結婚したり離婚したり、マネージメントや所属事務所もグループで一つではなくメンバーごとにばらばら、こんなグループは長続きするわけがない、とおっしゃっていましたが。

76年から77年にかけて、アメリカのLPチャートで半年以上1位を譲らなかった名盤で、シングルヒットも多く出て、ヒットチャートマニアになり立てだった僕は、これは永遠に続くんじゃないか、なんて思っていたほどです。

でもその名盤の制作の背景は、実はむちゃくちゃだったんだとわかって、少年時代の夢が崩れた気分でした。収録された曲全ては当時の自分たちのことを歌っている、なんていわれて、改めて聴き直してみると、納得してしまうのですが、やはりやるせないです。

            Stevie_nicks_bella_donna 録音当時、グループ内の二組のカップルが危機的状態。事実婚だLindsay_buckingham_law_and_order_1 ったリンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスは割りとドライで、破局後も仕事上のパートナーとして曲作りやコーラスワークを一緒にやる。スティーヴィー作Dreamsも、リンジー作 Go Your Own Wayも、互いに自由がほしいのね、好きな道を歩もう、というエール交換だった。ところがスティーヴィーは、曲作りやツアーのプレッシャーで精神的に参っていて、80年代半ばまで麻薬に手を出していたという。Gold Dust Womanはそれで得られる覚醒状態の歌だった。

Christine_mcvie_in_the_meantime これに対してドロドロだったのがジョン・マクヴィーとクリスティン・マクヴィー。ジョンは現在なおクリスティンに未練たらたらのようだ。ところが、この時期にはっきりクリスティンから三行半をつきつけられてどん底状態、音楽に逃げるしかなかった。更にところが、クリスティン作 You Make Loving Funは、当時の彼女の不倫相手を歌った曲だった。相手はツアーの照明監督で共通の友人だった。そんな曲でベースを弾かされるジョンの心境はどんなものだったのだろう。

当時、クリスティンとスティーヴィーは女同士でアパートで共同生活をしていたが、ある日、泥酔したジョンが、クリスティンの名前を大声で叫びながらドアの外までやってきた。二人は門前払いをしたという。

これだけばらばらになりかけていたメンバーで、お互いが愛せなくなっていても、絶対切れない鎖で縛られ続ける(The Chain,メンバー全員参加での作曲)。

クリントン前大統領が、最も好きな曲ということでキャンペーンソングにもした クリスティン作Don’t Stopも、内容は前向きだが、こんな状況の中、何とかやっていこうよ、というメッセージだとしたら、それほどポジティヴに聞こえてこない。

アルバムタイトル「噂」はジョンのアイディアで、今自分たちを取り巻いている話は、単なる「噂」であってほしい、本当であってほしくない、という意味がこめられていたという。

子供のころラジオから流れてわくわくして聴いたポップな曲の数々には、こんな物語があったのでした。

Fleetwood_mac_say_you_will 3年前、クリスティン抜きの4人で再結成し、Peacemakerで、アメリカンミュージックアワードも受賞しました。また次回作の計画もあるとか。

長続きしそうもないバンドで、確かに何度も活動停止をしましたが、他のベテラングループがいろいろな理由で新メンバーを加入させて存続を図る中、いまだに全盛期に近いメンバーで活動できています。商売のため割り切ってできるということなんでしょうが、それはそれでいいのかもしれない、と思えてきました。

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コメント

はじめまして、TBありがとうございます。
「噂」のころのメンバー事情は何となく耳にしたことがありましたが、そこまで・・・だったんですねえ。
ちょっと、曲を聴く耳も変わりそうです。
スティービーがドラッグに走っていたってのも初耳でした。
「Dance」のライブDVDが、「Chain」で始まるのも、意味があったんですね、きっと。

投稿: heavytopper | 2006年4月25日 (火) 20時38分

来訪、コメント有難うございます。こちらこそ勝手につないで申し訳ございませんでした。アクセスが伸び悩んでいるので、関連あるブログに繋ごうといろいろ拝見し、たどり着いた次第です。
文中に書いた、Making of Rumoursおすすめです。本とに、この作品、バンドに対する見方が変わりました。
スティービーの麻薬の話ですが、これが録音された70年代のカリフォルニアは、ヒッピー、フラワームーブメントの名残が強く、割と普通のことだと描かれていました。
それから、リマスターの二枚組みもお勧めです。ラフテイク、アウトテイク、聞き比べると面白いです。
The Chainはクリントン大統領がDon't Stopをリバイバルさせて、再結成した後の便乗ボックスセットのタイトルでもありました。この個人ばらばらのバンドのテーマだったんでしょう。
関連するほかの記事とも繋いでよろしいでしょうか?

投稿: Prof.Harry | 2006年4月26日 (水) 01時22分

はじめまして。TBサンキューです。

このアルバムは、その後のソフィスティケイトされたポップ・ロックのある意味テンプレ的なアルバムかもしれませんね。
その反動で、18ヵ月という年月と100万ドルという莫大な予算を掛けて、『Tusk』という実験作(?)を発表したのかもしれませんね?

でも、『Tusk』はりアルタイムで聴いた初Macだったので思い出深いのですが(笑)

投稿: ez | 2006年4月26日 (水) 05時31分

こちらこそ、来訪、コメント、それに逆TBありがとうございました。やっと音楽の話題中心の本格的なブログからTBが付いてほっとしおります。
TUSKが出てきたときはよく覚えています。『ファンタスティックマック」「噂」と二枚続けて同じ路線で大成功し、その後3年以上のブランクを経て、いったい何を出してくるか、という周囲からのプレッシャーがものすごかったのでしょう。リンジーはアフリカのリズムを取り入れて、一気にマンネリ打破を図ったのですね。この頃はライヴでこの曲を演る時にはメンバー5人全員がパーカッションを打ち、リエゾン(ハモリなし)で歌うという度迫力のものでした。なんで「SARA」が最初のシングルじゃないんだ?という話も相当いわれましたが、やっぱりそれだと、なんだこれは?ということになりますね。TUSKが最初で正解だったのでしょう。失敗作といわれますが、僕は前の二枚と違った意味で好きです。
克也さんのサイトでスレ落ちしない限り更新できないブログですが(そちらも)よろしく。他の記事ともつないでよろしいでしょうか?

投稿: Prof.Harry | 2006年4月26日 (水) 16時31分

ezさんのBLOGから参りました。
このアルバム、懐かしいです!物凄いヒットしましたよねー。
タイトルを見ただけで、曲が聞こえてきますよ脳内で笑。
これだけ色々あってもやっぱりたまに集まるというのは
集まった時の音の力をご本人達もわかっていらっしゃるのでしょうね。
ソロアルバムも確かに悪くはないのですが
やはりこのときの顔ぶれと比べてしまうと・・・
それにしても素晴らしい。本当に奇跡のような時期でした。

投稿: けん | 2006年4月27日 (木) 02時25分

けんさん、来訪、コメント有難うございます。
ホンと、個性が強くばらばらの人たちが集まって、1+1+1+1+1>5、算数では起こりえない奇跡を起こした、といった感じでしょうかね。
同じように、エゴの集まりだったけど、集まったときに物凄く輝いた例に、クロスビー、スティルス、ナッシュ、ヤングを思い出しました。彼らについて書く機会はあるかな。

投稿: Prof.Harry | 2006年4月27日 (木) 05時58分

拙BLOGに来訪いただき誠にありがとうございます。
小林克也さんの番組は僕も多数見聞きしてきました。
ezさんのBLOGにも以前書いたのですが、
(この欄の「けん」はそちらの記事にリンクさせていただきました)
FM東京で四半世紀前位に放送していた日曜深夜の番組が一番思い出深いです。
それとザ・ナンバーワン・バンドのビデオクリップで
克也さんがバーのカウンターに
水蒸気がグラスの周りに凝結してたまった水で
「涙」と書く場面を、たった今なぜか思い出しました笑。

投稿: けん | 2006年4月27日 (木) 13時27分

けんさん、またまたありがとうございます。
克也さんのその日曜深夜の番組「ナガオカ・ワールドミュージック」については僕もサイトで書いたことがあって、今はこちらに移ってきています。2005年10月5日付の記事です。あるいはこの下の名前をクリックしても飛べるようにしておきました。ご参照いただければ幸いです。やっぱり克也さんの歴代の番組の中で一番印象深いです。

投稿: Prof.Harry | 2006年4月27日 (木) 17時06分

小林さん毎週土曜日朝ご苦労様です。私も時々土曜日7時ニッポン放送聴かせて頂いております。リックネルソンの子供達が親父のレパートリーを聴いて涙が・・・のコメント私も感激致しました。じつは私はリックフアン歴数十年ですハローメリールーからスタートしてつい最近HMVに輸入盤を注文しております。星降るアラバマをやっと見つけたからです。美空、島倉さんのフアンは回りにいても、プレスリーが限界で リック?誰それ?となります。今まで一人フアンをずっと通してきました。数年前番組にコメント無しで、生まれて初めてハローメリールーをリクエストしたら一発で採用して頂き、感激感激でした、但しあの
粗品バックは趣味では有りませんでした。もしネルソン兄弟を目の前で聴けたら、涙それより気絶です。これからも末長く頑張って下さい。・・・・山崎 哲彦

投稿: 山崎 哲彦 | 2006年6月15日 (木) 21時00分

Harryさん早速のご連絡有難うございました。いまだにリッキーネルソンのフアンとして、克也さんの涙に感激致しました,それで筆をとった次第です。音楽がアルコールより優先する私として、このページ楽しく拝見させて頂いております。これからも末永く頑張ってください。

投稿: 山崎 哲彦 | 2006年6月16日 (金) 17時11分

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