My Way
5月14日はフランク・シナトラの命日ということで。
もう8年になりますか。
ベストヒットUSAでは、かわりにポール・アンカ「ダイアナ」が流れました。シナトラの代表曲「マイ・ウェイ」の作者であるつながりがありますが、シナトラに適当なVがなかったのか、あまりにも番組のイメージから離れすぎていたのか。
ポール・アンカの一番新しい録音は、ヴァン・へーレン「ジャンプ」、ニルヴァナ「スメルズ・ライク・ティーンスピリット」なんかを、ビッグバンドをバックにカバーした「ロック・スウィングス」ですが。
ロッド・スチュアートの「グレイト・アメリカン・ソングブック」のシリーズ、これは古い曲をそのままカバーしたものですが、そういう原点回帰の企画が流行っています。
実はシナトラも似たようなレコードを出したことがあります。85年くらいに、当時のヒット曲、ジョーン・ジェットの「アイ・ラヴ・ロックンロール」なんかをメドレーにしてスィングジャズ風にアレンジして、マイナーヒットになりました。
といっても、実はこれはシナトラ自身のレコードではなく、数多い彼の物まねをするコメディアンの一人が企画したノベルティ・レコードでした(レコードの名義を全く憶えていません。検索してもわかりませんでした。御存知ならば御教示ください)。
このレコードで、偽シナトラが歌いだす前に、マイクがオンになっているのを気付いていないという設定で、ひそひそ話が漏れる場面があります。「ジョーン・ジェットって何だよ?ジェット機の親戚か?」
今のブッシュ大統領が、マイクがオフになっていると思ってうっかり、assholeと口走ってしまったように。
シナトラは最高のエンターテイナーでしたが、同時に暗いイメージも常に付きまとっていて、またそれを敢えてあまり隠そうとしなかったことが彼の特徴だったといえるのではないでしょうか。
暴力沙汰事件、暴言事件の数知れず。新聞記者を名指しして、寄生虫、売春婦、と罵ったり。ジョーン・ジェットのは、いかにも言いそうなことでしたが、まだ軽い。
そしてなんと言っても、シナトラといえばマフィアとの関係。小説「ゴッドファザー」の中で、主人公のマフィアの保護下にあったイタリア系の歌手が登場しますが、これのモデルは明らかにシナトラでした。
ジアンカーナという有名なボスがいて、他のボスの議会公聴会証言でその地下組織の存在が白日にさらされ、ジアンカーナの行動は目立ちすぎて地下組織を更に危うくすると危惧した他のボスたちがジアンカーナ抹殺を仕掛けたとき、彼はラスヴェガスのシナトラの別荘に逃げ込んで匿われました。
マフィアとの関係を詰問するためにシナトラ自身が議会公聴会に招聘された例も数知れず。
更に同時に彼は権力慾もあからさまで、彼は最高のエンターテイナーとして、時の最高権力者の親友でありたいと常に願っていた人でもありました。
いわゆる「シナトラ一家」の一人にケネディ大統領の義弟にあたる、俳優ピーター・ローフォードがいて、それを伝手にケネディに接近し、選挙の応援は言わずもがな、大統領就任式の前日に史上空前のディナーショーを開いて選挙運動資金の赤字を補填した。
(ピーターの息子、つまりケネディ大統領の甥、クリストファー・ローフォードも俳優になっていて、そのケネディが主人公の「13 Days」、他にハリソン・フォードの「What Lies Beneath」なんかに出演しています。 13ディズ、ノベライズ文庫本の解説は私が書いてます。よろしく)。
シナトラはケネディ大統領の初めての西海岸での休養の折、自分の別荘に招く計画を立て準備万端整っていたが、ケネディはドタキャンをした。司法長官としてマフィア摘発の先頭に立っていた弟ロバート・ケネディがストップをかけたのだ。
その後、シナトラはニクソン大統領にも接近し、ウォーターゲート事件で大統領が国民から総スカンをくらってもなおニクソンを支持し続けますが、それでもニクソンはマフィアとの関係を嫌ってシナトラを疎んじ、むしろ「シナトラ一家」のサミー・デーヴィスJrと仲良くなります。更に晩年は、レーガン大統領にも近づこうとします。
古臭い話が続いてしまいましたが。
「マイ・ウェイ」は、
時には柄に合わないこともやり、後悔もある
だが、試練を受け止め、全力を尽くして、自分なりのやり方で人生を生きた
という、彼の人生そのもの。自己陶酔と自己弁護が入っているから。
日本でもワンマンショーなどでは最も歌われる歌です。
克也さんも、数年前の「花咲コバヤシ」の企画で中村雅俊さんとデュエットで歌われました。
克也さんはどのような感慨で歌ったのでしょう?
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