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2006年8月24日 (木)

Stoned

今年初めの来日、この間のキースの椰子の木攀じ登りのち転落事件と、相変わらずいまだに話題に事欠かないローリング・ストーンズ。

 この夏は、映画「ブライアン・ジョーンズ-ストーンズから消えた男」が全国で公開されたことが一番の話題でしょう。私も観てみました。

 いくつかの映画を思い出しました。Last_days

 まず、今年前半にやっていた、ニルヴァナのカート・コバーンの最期をモデルにした「ラスト・デイズ」。才能あるロックミュージシャンの孤独と現実逃避、そして謎に包まれた最期といった点が似ています。

 そしてこれをより強く思い出したのですが、10年前にやっていた、ビートルズの幻のメンバー、スチュアート・サトクリフの生涯を描いた「バックビート」。このストーンズの映画とタッチがよく似てるなと思っていたら、案の定、製作(フィノラ・ドワイヤー)と監督(スティーヴン・ウーリー)が全く一緒でした。「バックビート」の次の企画としてずっと暖めていたとのこと。

 ビートルズとストーンズ、60年代にイギリスから登場して世界を席巻し、否でも応でも互いを意識せざるをえなかった、スタイルでも対極をなしていた二大バンド、そのオリジナルメンバーだったが、それらが本当の絶頂期を迎える直前に、他メンバーとの軋轢から脱退を余儀なくされ、そしてその後、やはり逃避し、夭逝する、といった共通点がこの二人にはあります。Backbeat

 サトクリフは音楽よりも美術に才能を持っていたと言われ、映画館では彼が遺した抽象画の画展もやっていました。ゲージツは爆発かもしれないが、僕にはよくわからない。ただいろいろな色の線が不規則に殴り書きされているようにしか見えなかった。抽象画なら僕にもできるかな、とさえ思いました。でも僕の場合、風景画を描いて他人に見せても「素晴らしい抽象画だ」と言われるのがオチですが。

 サトクリフはビートルズ脱退後、ハンブルグで出会った年上の女性カメラマンとの恋と芸術に生きますが、脳腫瘍で急逝してしまいます。

 しかしブライアン・ジョーンズの場合、脱退後は退廃を極め、その死は謎に包まれていました。Stoned

 幼馴染だったミックとキースが、ロンドンに出て音楽で身を立てようとダートフォードの田舎から乗った汽車で偶然再会したことからストーンズ伝説は始まります。

 それとは別の流れで、既にロンドンで音楽活動をやっていたブライアンと合流してストーンズが結成、アメリカンブルースへの傾倒が強かったブライアンがリーダーとなります。

 しかしマネージャーだったアンドリュー・オルダムが、ストーンズをビートルズの対極に位置する不良グループのイメージを演出し、ミックのスター性、キースとミックの曲作りの才能を見抜き、彼ら中心のバンドとして売り込む。その戦略の中で、音楽的にも違憲が合わなくなり、人間関係もおかしくなり、ブライアンは孤立していく。そして、ドラッグや異常性愛に溺れるようになる。ブライアンの麻薬の前科を理由にアメリカがストーンズの入国を許可しなかったことから、アメリカ進出を重視していたオルダムはますますブライアンを邪魔者にし、ついには脱退を勧告する。

 ブライアンが「くまのプーさん」の作者A・ミルンの邸宅を購入して住んで、修繕のために建築家フランク・ソログッドを雇って、他に恋人のアナ・ウォーリン、看護婦のジャネット・ローソンと半同居状態の生活だったが、ブライアンの異常行動はどんどん増し精神もずたずたになっていく。話し相手でもあったフランクのちょっとした仕事が気に入らないと言って癇癪を起こしてクビにした。

 そんな6973日、ブライアンはその自宅のプールで溺死する。

 警察の発表はドラッグ過剰摂取による事故死だったが、レコーディング中のミックたちには、自殺、と伝えられた。ミックたちは淡々と仕事を続けたという。

 しかし、その他にも、他殺説も囁かれ、突然の死は謎のまま残されている。

 フランクは93年に他界する今わの際で、ブライアン殺害を自白したという。アナ・ウォーリンも後に同様の証言をした。おそらくそうなのだろう。しかしこれは証言だけで証拠はない。この映画も、その他殺説に則っている。Rolling_stones_englands_newest_hitmakesr

 奇しくも先週、ロンドン・ハイドパークで彼の死の二日後に行われた追悼フリーコンサートの模様をNHKのBSが再放送していました。ミックは弔辞こうを読み上げていました。

 彼は死んだのではない、彼は眠ったのでもない。彼は、夢の生活から解き放たれ、嵐のような未来へ向かって動き始めたのだ。

 ミックとキースは葬儀にも参列しなかった。ミックの恋人マリアンヌ・フェイスフルも、突然の死と周囲の冷たさ、人間関係の複雑さに疲れ、ドラッグを過剰摂取し仮死状態になる。ストーンズの成功し始めの裏の暗部でした。

 ブライアンの周囲の60年代末の退廃的な雰囲気と、フランクの存在に代表されるイギリスの旧世代、上流階級文化との衝突など社会的な背景も描かれています。

 原題のStoned。ぴったりのタイトルです。当然ストーンズに掛けているわけですが、stonedとは、酒や麻薬に溺れる、という意味があり、二重含意になっているわけです。

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コメント

おひさしぶりです(^^)。
TBありがとうございました!
私は、住んでいるところが田舎なので
この映画見られなかったのですが、
先生の記事のおかげで、その概要や製作の背景までよくわかりました!
DVD、はやく出ないかなあと願うばかりです(^^)。

投稿: 波野井露楠 | 2006年11月 4日 (土) 08時48分

あれ?
TBもコメントも反映されていない!
ガーン。
なぜ(汗)??

投稿: 波野井露楠 | 2006年11月 4日 (土) 08時51分

波野井さんおはようございます。コメント、トラックバックありがとうございました。
お役に立ててよかったです。劇場もいいですが、記録に残せて、いろいろ確認できるからDVDはいいですよね。
うざいスパムがいっぱい来るので、コメント、トラックバックとも、猶予期間を設けています。見ててよかった。びっくりさせてごめんなさい。これに懲りずにこれからもよろしくお願いします。

投稿: Prof.Harry | 2006年11月 4日 (土) 09時03分

TBありがとうございました♪
ストーンズも本格的に聴き始めたのはつい最近なので、
実像を殆ど知らなかったりします。
私もDVDが出たら観てみたいです!

投稿: Nob | 2006年11月 4日 (土) 10時03分

Nobサン。コメント、トラックバックありがとうございます。
初期の実像を知るのにも役に立ちますし、単なる耽美的な映画としても見ても十分にいけますよ。

投稿: Prof.Harry | 2006年11月 4日 (土) 21時13分

ストーンズは ぼちぼち 集めてます。波野井さんがブライアンの時代がいいとおっしゃられるので、初期を買ってます。映画のほうは ああ そうだったのかという感じですが 楽しめました。

投稿: 和登さん | 2006年11月 8日 (水) 22時54分

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