Return to Pooh Corner
1980年代とは何だったのでしょう。
先週ネタにした、ジェファソン・スターシップみたいなベテラン、非主流バンドがレコードを売るための産業ポップロックに走った時代。
プログレ畑の人たちも産業ポップロックに走った。これはイエスやエイジアなど。
ブラスロックだったシカゴ、ファンキーだったクール&ザ・ギャングなんかが甘っちょろいラブ・バラードの大ヒット曲を連発した。
10日のベストヒットのリクエストコーナーでかかった「デンジャー・ゾーン」のような、ケニー・ロギンスがほとんど映画サントラシンガーと化していた時代。
その「デンジャー・ゾーン」の「トップ・ガン」からは他に「ミート・ミー・ハーフ・ウェイ」、その「トップ・ガン」の前に、あの「フットルース」が大有名ですね。一番最初は映画「キャディ・シャック」の「アイム・オーライト」でした。
その80年代が終わって、94年ごろ彼はソロになって初めてのグレイテストヒッツを出すんですけど、彼自身の選曲で、一曲ごとに彼自身の言葉で詳細な曲紹介、解説を書いているんです。ところが、「フットルース」「デンジャー・ゾーン」「アイム・オーライト」の三曲に関しては、選曲はされているんですけれど、解説は一切書かれておらず、わざとらしい空白欄になっていた。
これは果たして何を意味するのでしょう。
シカゴの面々も、克也さんとのインタビューその他の機会で80年代のバラード路線への悔恨を露にしていたという。
その後のケニーはひたすら原点に戻ろうとする活動をします。まず野外アコースティック・ライヴをCDとビデオで出して成功します。当時MTVでの一連のアンプラグド企画流行っていたことに乗じたものでしたが、それに田舎の林の中の小ステージでのライブでこぢんまりとして雰囲気の中、往年のヒット曲をアコースティックギター、アコースティックピアノでアレンジしなおして、素朴で、80年代の派手さを全く感じさせないものでした。「フットルース」もそこでは全く印象が違った曲になっていました。
その後ケニーの90年代ほとんど、ファミリー、チャイルド音楽の分野で活動します。93年に発表したReturn to Pooh Corner、当時はまだメジャーなアーティストが単独で子供向けアルバムを出すというのは珍しいことでした。70年代のロギンス&メッシーナ時代の「プー横丁の家」をセルフカバーした表題曲、クマのプーさんがテーマです。フィル・コリンズのYou’ll Be In My Heartとかディズニー映画のテーマで使われた曲、セサミ・ストリートの蛙のカーミットが歌っていたポール・ウィリアムスの「レインボウ・コネクション」、ポール・サイモンの「聖ジュディ彗星の唄」なんか、それまでのヒット曲でも子供向けのものが結構あって、それらを集めてカバーしたものでした。
これがチャイルドミュージックに革命を起こします。アルバムチャートの上位に食い込むということはありませんでしたが物凄いロングセラーになり、それまでのケニーのアルバムの売り上げを上回ってしまうほどになりました。
実は僕も子供が生まれて最初に買ったCDがこれでした。今でも子守唄に使えます。
その後ケニーはフォローアップのチャイルドミュージック企画CDを2枚出します。ケニーのこの成功に触発されて、リンダ・ロンシュタット、アート・ガーファンクル、故二コレット・ラーソンなんかが同様のチャイルドアルバムを発表します。
そしてケニーは去年から今年にかけて、そのロギンス&メッシーナを再結成します。
70年代の前半、実働期間は四年くらいしかありませんでしたが語り継がれているデュエットチーム。ポコを脱退したジム・メッシーナがケニーを見出す形で結成、カントリーロックとポップをクロスオーバーさせたような音楽で、大ヒットこそありませんが、その「プー横丁の家」とか、アン・マレーのカバーで有名になった「ラブ・ソング」「ダニーの歌」、ポイズンがカバーしたり、クリントン前大統領がMTVにゲスト出演してケニーと一緒に演奏、サキソフォンで参加した「ママはダンスを踊らない」など、数々の名曲を残している。
去年の夏から再結成ツアーが始まり、DVDもライブCDも出ています。ケニーのヒット曲はまったく演奏されず、ロギンス&メッシーナ時代のレパートリーのみ、しかも当時のアレンジのままでやっています。場所は林の中とは行かないまでも野外にこだわっているみたい。
ボーナスで73年の、全盛期にウルフマン・ジャックのミッドナイトスペシャルに出演した映像が入っています。ケニーは長髪髭もじゃ、現在のほうが痩せている。ジムは今のほうが太っているのがご愛嬌。
長い時間をかけて自分の原点に戻る。何をやっているかに拘らず、いつかは必要になってくることなのかもしれません。
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