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2006年11月10日 (金)

You Ain't See Nothing Yet

結構忙しいんです。

 本業はアメリカの事情や政治について書いたりしゃべったりしてるもんで。

 向こうの時間の火曜日に選挙があって、今結果が次々に入ってきています。

 克也御大にも、もっと政治のことを書いていいっていわれているし。でも難しくならない範囲で、あと、ショービズの話題も絡めて書いてみます。

 中間選挙というのは、四年に一度の大統領選挙に重ならない西暦末尾が偶数の年に行われる選挙。合衆国下院議員が任期二年で全議席がシャッフルされ、上院議員が一人六年の任期なのが二年ごとに三分の一が改選されるので、必ず二年ごとに全国選挙をやるわけですね。ほかに知事選居の改選が重なる場合や、同時にある問題の可否を住民投票で問うたりします。上院とは州の代表で、下院とは民衆の代表という位置づけです。

 いままでは上下両院とも、共和党、つまりブッシュ大統領の側の政党が12年続けて多数党を占めていました。ところが今回の結果で、両院とも、反対党の民主党、つまりクリントン前大統領の側の政党、が多数派を奪還しました。でも、たとえば上院の議席は5149で、両院とも議席差はきわめて僅少です。

 事前から民主党の優勢は予測われていました。しかし多数党に返り咲くのは大変なことでした。世論調査のほかに、どの地域ではどちらが強い、という地域的傾向みたいなものがあって、それは明らかに共和党に利する配置になっていたからです。2000年に民主党のケリー候補が勝つためには世論の支持率で51パーセント対49パーセントではだめで、最低でも55パーセント対45パーセントくらいの開きが必要でした。つまり今回はそれくらい民主党に追い風が吹いていたわけで、それくらいイラク戦争とブッシュ大統領に支持が集まらなくなっていたわけです。それでも議席が僅差なのは、その共和党がもともと持っていたアドヴァンテージのせいだと思われます。

 議会では議長とか委員会委員長とかが大きな権力を持っていて、多数党からすべてのポストが選出されるので、今回は全部変わってしまいます。特に下院の最高実力者となる下院議長が史上初の女性になりそうです。ナンシー・ペロシという、サンフランシスコ周辺の選挙区から出ているリベラルな女性で、ブッシュ大統領を「嘘吐き」呼ばわりしたこともある、大統領とは犬と猿みたいな関係の人、これからますます対決姿勢を強めていくかもしれません。また中国や日本に対しても強い態度をとった人です。

 もうひとつの女性初、最後の領域といえば、大統領。女性初にまっしぐらに進んでいるのはヒラリー・クリントン上院議員。ニュー・ヨーク州で再選され、二年後に向けて勢いがついたかも。

Bachman_turner_overdrive_not_fragileTal_bachman                                                             彼女がキャンペーンソングに使っていたのが、Bachman-Turner Overdirive “You Ain’t See Nothing Yet”「恋のめまい」という曲。75年のナンバー1ヒット。カナダからのバンドで、克也さんも銀座で偶然遭遇したことがあるというGuess Whoにいたランディ・バックマンを中心に結成されたグループ。98年に”She’s So High”をヒットさせたタル・バックマンのお父さん。

 「まだいいことは何も見てないよ、これからだよ」とは、なんとも意味深な。再選を目指す政治家としては、これからまだまだいいことがあるよってことだけど、ヒラリーの場合、更にその次があるよって意味もあるかもしれない。

Anne_murray_ultimate_collection_1Randy_goodrum_words_and_music 旦那の前大統領はフリートウッド・マック「ドント・ストップ」をキャンペーンソングに使っていた。旦那はMTVでケニー・ロギンスと競演したこともあるし、アン・マレーのナンバー1ソング「辛い別れ」”You Needed Me”なんかを作ったソングライターのランディ・グッドラムとは高校の同級生で一緒にバンドを組んでいて、マジでプロを目指していて、ランディとクリントン夫妻はいまでに友人同士であるという。音楽大好き一家ですね。まだあの問題は尾を引いているのかな?

 あと今回注目されたのはマイケル・J・フォックスの存在。80年代に、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」三部作、「ファミリー・タイズ」なんかで人気者だった彼もパーキンソン氏病にかかってしまった。その病気も含めて、アルツハイマー病など遺伝子レベルで引き起こされる病気の治療方法開発のきっかけとなるかもしれない幹細胞研究の推進を応援している。ところがこれは、胚をいじることは生命にかかわり、クローン人間を作る研究に結びつき神の領域を侵すということで宗教保守派が大反対しており、アメリカを二分する政治問題の一つになっています。ミズーリ州で幹細胞研究への基金が住民投票にかけられ、マイケルは体中がぶるぶる震えながらも研究の必要性を訴える運動を展開しました。これを保守派のラジオトークショーホストで有名なラッシュ・リンボウは、視聴者にお涙頂戴するための演技だ、と批判しましたが、マイケルは「自分は俳優だ。俳優としてこんな惨めな姿は見せたくない。それでも研究の必要を訴えるためにあえて見せている」と反駁しました。住民投票は僅差で可決されたようです。

 カリフォルニア州知事シュワちゃんも、前回はリコール選挙でしたが、今回は定期選挙で初めて当選しました。

 ショービズと政治の世界が密接に結びついているアメリカ。こういう話題に事欠かないのが、いいところといえばそうなのかもしれない。

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コメント

こんにちは。
アメリカの選挙のニュースに興味はありながら、受身のままではほとんど目にする機会がなくて、今日はとても勉強になりました。それにしても、選挙でテーマ・ソングを設定するという習慣は面白いですね。テーマ曲にされた作曲者が「やめてくれ」とか言ったりするトラブルもあるんでしょうか。

投稿: muse | 2007年1月11日 (木) 21時44分

muse様、コメント、トラックバックありがとうございます。
私は以前、今の経済産業大臣の甘利明の選挙区に住んでいたんですけど、彼は「ロッキーのテーマ」に乗せて、白いスーツで選挙運動をやっていました。見苦しかった。まだ彼も30代だった頃でしょう。今でもそうなのかな。
そのクリントン前大統領がフリートウッドマックを使ったおかげで、再ブームが起こり、ボックスセットが便乗で発売され、再結成のきっかけにもなりました。
ブルース・スプリングスティーンは、レーガン大統領が勝手に Born in the USAを使ったことに対して、曲の趣旨と違う、と怒ったようです。
museサンのところ、リンクに加えさせていただきました。宜しくお願いいたします。

投稿: Prof.Harry | 2007年1月12日 (金) 04時04分

こんにちは。
日本でもテーマ曲を使う人はいるんですね。まぁ、選曲があまりにもベタですが・・。隠れた名曲みたいなものを掘り起こしてくれたりすると、かっこいいですよね。

そういえば「ボーン・イン・ザUSA」の話は聞いたことがありました。でも、「抗議」するほど骨のあるミュージシャンって多くはないんでしょうね。

リンクどうもありがとうございました!こちらからもリンクさせていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: muse | 2007年1月12日 (金) 12時53分

museさん、コメントありがとうございました。
もう一つ付け加えがあるんです。というか最近知ったことなんですけれど。
http://radiobaka-archive.cocolog-nifty.com/bakabaka/2005/08/i_wanna_be_elec.html
ここで記事にした Orleans "Still the One"ですけれど、このオーリンズのメンバーで、曲の作者でもあるジョン・ホールは、今下院議員になっているんですね。ブッシュと反対の民主党で、自分の曲がブッシュの運動に無断で使われたことに抗議して、ブッシュ陣営は使うのをやめたそうです。
リンクありがとうございました。他でも書きましたが、ここと同じように音楽を中心にしつつも社会のいろいろな難しい問題を取り上げながら、アクセス数の多いMUSEさんのところをお手本にしながら、及ばずながらも奮闘したいと思っております

投稿: Prof.Harry | 2007年1月14日 (日) 07時16分

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