Summer of' 78
本年一発目のベストヒットのレビュー。
1月21日、「サタデーナイトフィーヴァー」のサウンドトラックがアルバムチャートの1位になった日ということで、ビージーズ「愛はきらめきの中に」”How Deep is Your Love”が。
克也さんも力説していましたが、1978年いっぱいのビージーズは本当にすごかったんです。どれくらいすごかったかは簡単には言い表せません。この当時、克也さんの番組をかじりついて聴いていたラジオ小僧だった私が、そのラジオから伝わってきたビージーズのすごさの一端を思い出してみようと思います。
まず、それから約二ヵ月後の78年3月18日付のビルボード・ホット100の上位5位はこうなっていました。
1 “Night Fever” Bee Gees
2 “Stayin’ Alive” Bee Gees
3 “Emotion” Smantha Sang
4 “Lay Down Sally” Eric Clapton
5 “Love is Thicker Than Water” Andy Gibb
1位、2位をそのビージーズが独占していました。「恋のナイトフィーヴァー」はそのサウンドトラックからの3曲目のナンバーワンヒット。この週に1位になり5月6日まで9週連続の1位となります。2位の「ステイン・アライヴ」は2曲目のナンバー1,2月4日から25日まで4週連続、このあと4月15日まで合計12週、トップ10内に居座ります。「愛はきらめきの中に」もこの2週前の3月4日までトップ10に入っていて、トップ10内3曲入っていた状態でした。「きらめき」は77年12月24日から78年1月7日まで3週連続1位、トップ10以内は16週留まりました。
5位のアンディ・ギブは、ビージーズ兄弟の末弟でした。前77年デビュー曲の”I Just Want To Be Your Everything”「恋のときめき」がいきなり1位になり、この「愛の面影」が二曲目のナンバー1。この前の週まで2週連続でした。この後アンディは夏にアルバム「シャドウ・ダンシング」を発表、標題曲がやはり1位を7週続け、この78年の最大のシングルヒットになります。更に続けて同じアルバムから
”An Everlasting Love” “Our Love Don’t Throw It All Away”と連続トップ10ヒットとなります。もちろん全てギブ兄弟作曲。
3位のサマンサ・サングの「愛のエモーション」もギブ兄弟作曲の曲。今でいう「アメリカン・アイドル」みたいな新人発掘番組から出てきた、オーストラリア出身の歌がうまい女の子で、ビージーズが曲を提供してプロデュース、バックを担当。この曲自体、最近になってビージーズ自身がベスト盤のためにセルフカバーしましたし、ディスティニーズ・チャイルドのカバーヒットでもお馴染みでしょう。
これに終わりません。4位のクラプトンもちょっと関係あるのです。この当時ビージーズ一族のマネージメントを引き受けていたのはロバート・スティグウッドという大物で、映画「サタデーナイトフィーヴァー」も製作し、RSOレコード(Robert Stigwood’s Officeの略)というレコード会社も持っていて、当然ビージーズ関連のレコードは全てそこから出ていたのですが、この当時、「スローハンド」の時期はなんとクラプトンもRSOレコードから出していたんですね。つまりこの週はRSOレコードが上位5位を独占したことになります。
さらにさらに、この77年冬から78年夏にかけて、「愛はきらめきの中に」→”Baby Come Back” Player→「ステイン・アライヴ」→「愛の面影」→「恋のナイトフィーヴァー」→”If I Can’t Have You” Yvonne Ellimanと、77年12月24日から78年5月13日、ほぼ半年もの間、RSOレコードは1位を独占し続けていたのです。この他、さっきの「シャドーダンシング」、あと「グリース」からの、フランキー・ヴァリの表題曲、ジョン・トラヴォルタ&オリヴィア・ニュートン・ジョンの"You're the One That I Want”をあわせると、RSOレコードは78年は52週中30週も1位にいたことになります。
そのイヴォンヌ・エリマン”If I Can’t Have You”も「サタデーナイトフィーヴァー」からの曲。ハワイ出身の、ほとんど日本人の顔をしてる女の子。クラプトンの”I Shot the Sheriff”でも一緒に歌っていた人でした。
このほかにもこのサウンドトラックからは、ギブ兄弟の曲としてはタバレス”More Than a Woman”が中ヒット。タバレスは”Only Takes a Minute” (Take Thatがカバーした)、”Heaven Must Be Missing an Angel”なんて、ディスコのヒット曲を飛ばした兄弟グループでした。「モア・ザン・ア・ウーマン」はビージーズ自身もサントラの中でやっていて出来も良かったのですが、タバレスがシングルで売りたいというのでビージーズは気を遣ってシングルカットしなかったという話が残ってますが、今アメリカのラジオではビージーズのバージョンばかりがかかり、タバレスがやってたことはほとんど忘れられているようです。
このサントラから他には、Tramps “Disco Inferno” KC & the Sunshine Band “Boogie Shoes”が中ヒットになりました。夏にはサントラからの曲がトップ40に6曲同時に入っていたこともありました。また奇妙な現象で、78年夏のある週、ビルボード100のうちほぼ3分の1、32曲のタイトルに”night”という単語が含まれていた、何てこともありました。これも映画の影響でしょう。
夏にかけてはRSOがジョン・トラヴォルタ主演で送り出す第二弾、オリヴィア・ニュートン・ジョン競演で50年代に舞台を移した「グリース」が封切られ、ビージーズとしては長兄バリー・ギブがメインテーマ「グリース」を書いてフランキー・ヴァリに提供、8月にナンバー1になります。
ところがその映画第三弾、ビージーズの兄弟自身とピーター・フランプトンを主役にすえて、ビートルズの曲だけでストーリーを繋げたミュージカル「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」が、彼らの演技がへたくそだったため大きくこけました。ビージーズ関係では、ロビン・ギブがカバーした「オー・ダーリン! 」がちょっとヒットしました。こちらも。
ビージーズは、78年暮れにオリジナルアルバムとして、”Spirits Having Flown”をリリース、その中から翌79年に、”Too Much Heaven”, “Tragedy”, ”Love You Inside Out”と3曲連続のナンバー1ヒットを出すには出しますが、「フィーヴァー」の大成功の陰に隠れ印象が薄くなり、その後長いスランプの時期を迎えてしまいます。
でも、とにかく78年は筆舌に尽くしがたい、音楽だけでなく映画、ファッションを含めての一大社会現象だったんです。
ところがタイトルのSummer of ‘78、ちょっと関係の薄いバリー・マニロウの曲。バリーは最近、60年代、50年代の曲のカバーアルバムを立て続けに出しましたが、その企画の第一弾は70年代の曲のカバーアルバムで、この「78年の夏」というのを一曲だけオリジナルで入れていました。
ラジオから聞こえてくる曲が、全て、僕たちのものだと思えたあの時
バリーも78年夏といえば、ディスコブームに乗って「コパカバーナ」をヒットさせていたときでした。
ビージーズとしても、この78年の大成功の時期は、ディスコミュージックの本舗、見たいな扱いをされましたが、その後の彼らの、コーラス主体の音楽を模索しようとした活動を見ても、彼らがディスコをやったのは一時的なもので、それがたまたまバカ当たりしただけ、自分たちの本領はディスコではない、というのが本音だと思えるのですが。
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