Stevie's Wonder
またまた行ってまいりました。
スティーヴィー・ワンダー、日本縦断ツアー。
セットリストつきリポートで行ってみましょう。
6時開場7時開演予定でしたが。早く行って、ツアーグッヅを見ようとしたけど、CDしか売っていなかった。あまりミーハーなファンがいないということなのでしょうね。
開演も25分くらい遅れた。大物は待たせるなあ。
そして流れてきたのが
1 Too High
73年の金字塔的傑作、「インナーヴィジョンズ」の第一曲目がオープニングだ。僕の一番好きなアルバム、克也さんも?レコードに針をはじめて落として、あのシンセサイザーの流れるようなフレーズが流れてきたときの痺れは今でも覚えているけれど、それから始まった。何かを予感させて、
2 Visions
タイトルは違うけれど、その「インナーヴィジョンズ」の事実上のタイトル曲。このアルバムは、美しく攻撃的。その美しさの面を表した曲だが、ゆったりとした感想の間に、挨拶。「僕の心の中の映像が、いつか現実になるように。その日まで、願いを失わない。世知辛いこの世界の中で」
3 Living for the City「汚れた街」
「インナー…」もそうだし、彼のほとんどのアルバムがそうなんですけど、曲と曲の間がないノンストップ構成。ライヴもそうで、続けてそのアルバムからの最大のヒット曲。60年代の都市部の黒人の生活の悲惨さを歌った曲で、僕も大学教師を始めた年にロサンジェルスで暴動があって、この曲を授業で紹介した思い出もあります。基本的に4拍子だけどサビだけ3拍子になる、のるにはちょっと難しい曲。周りで立ち上がって踊っていた人たちが調子を崩すのを見ていておかしかった。
4 You Are the Sunshine of My Life
ここでちょっと一休みって感じで、「トーキングブック」からの美しく楽しいナンバー1ヒット。よくライヴでは、”Though I’ve loved you for million years”のところを、”…I’ve loved Japan for…”みたいにその場所で言い換えて受けを狙ったりするんですけど、今回は何もありませんでした。
5 Higher Ground
また「インナー…」に戻って、それからのファーストシングル、レッチリもカバーした攻撃的な曲。
彼は生まれながらにして視覚がないことはよく知られていますが、実は味覚も嗅覚もないんです。でもこれは後発のもので、その「インナー…」がリリースされた直後、交通事故で瀕死の重傷を負って、九死に一生を得ますが結果、味覚と嗅覚も失ってしまった。 彼の意識を回復させるために、ずっとこの曲を流して歌わせていたそうです。
聴覚と肌で感じる感覚しか残っていないけれど、それでも音楽ができることはすばらしいことなんだと、その後の彼は訴え続けているようです。
6 Superstition 「迷信」
7 Don’t You Worry’ bout a Thing 「くよくよするなよ」
「トーキング…」からの、ファンクの古典としても有名なナンバー1ヒットと、日本ではインコグニートのカバーで知られている「インナー…」からの最後のシングルヒット。一緒に歌っていて気がつきましたが、Daniel Powter “Bad Day”に通じるテーマを持っていたんだなあと思いました。
ここまでは「インナー…」を中心とした三部作からの選曲が多く、個人的に期待していましたが、ここら辺を境に一挙にヒットパレードになだれ込みました。
8 If You Really Love Me
彼の70年代の一連のヒットの最初を飾った曲。当時の奥さんだったシリータ(ライト)との共作でデュエット曲。Aメロ=サビの部分以外はゆっくりになる曲ですが、その部分をレコードより思いっきり緩く、貯めに貯めてやっていました。来日会見で「今まで演奏していた曲も違うアレンジでやります」といっていたのが徐々に出ていた。
9 Lately
10 Stay Gold
11 Overjoyed
ここら辺は日本ではCMなんかに使われておなじみの、ピアノが中心の美しいバラードナンバーが続きます。9は80年の「ホッター・ザン・ジュライ」、11は85年の「イン・スクエア・サークル」から。11ではバレイダンサーが華を添えました。
僕は実は「ステイ・ゴールド」とか。90年代の彼はあまり好きではありません。CD今のところもっていません。去年の「タイム・トゥ・ラヴ」は88年の「キャラクターズ」以来久しぶりに買いました。その間の時期はどうも凡庸で、丸くなっちゃって、彼でなくても書けて歌える曲が続いたような気がして。
12 Master Blaster Jammin
「ホッター…」からの、ボブ・マーレーに捧げたレゲエの曲。すごく短く切り上げたアレンジでした。
13 I Just Called to Say I Love You「心の愛」
シェップ&ライムライツというドゥ・ワップ・グループの50年代の大ヒット「ダディーズ・ホーム」をふざけながら歌って、この曲になだれ込みました。映画「ウーマン・イン・レッド」からのナンバー1、サビは大合唱。でも僕は個人的にはこの曲は、さっき言った、90年代の彼の凡庸化へのさきがけだったんじゃないか、なんて思っています。歌詞なんかほとんどニール・セダカの「カレンダーガール」。
ここらで一休みして、「みんなのヴォイストレーニングの先生になるよ」といっていろいろな声を出させて、最後に「ららら~」と言わせておいて
14 My Sherry Amor
のイントロの「ららら~」に繋げました。今回の選曲では一番古い曲。
15 Signed Sealed Delivered 「涙をとどけて」
ピーター・フランプトンもカバーした、70年のヒット。これもレコードとはだいぶ違い、メロディを前面に出したジャズ風アレンジでした。
16 Sir Duke 「愛するデューク」
17 I Wish 「回想」
そろそろ佳境か。77年の名作「キー・オヴ・ライフ」からのナンバー1を立て続けに。「回想」は名古屋の人にとっては克也さんの「ビビデバビデブ」の後テーマとしてお馴染み(といってももう誰も憶えていないか)。エンディング近くでは何度もカットブレイクを入れていました。
18 Ribbon in the Sky
ベスト盤 Musiquariumの中の新曲として収録された9~11あたりと一緒にやってもよさそうなピアノの美しいナンバー。
ここでSend One Your Love「愛を贈れば」のコード進行を生かしたラムゼイ・ルイスみたいなジャズブレイクが入って、またヴォイストレーニングが始まって、ぶるるるる、と唇を震わせて
19 Part Time Lover
になだれこんだ。これはドラム、ベース、ボーカルだけで、メロディ楽器を一切使わずシンプルに、聴衆に歌わせることに徹していた。
20 So What’s the Fuss?
去年の「タイム・トゥ…」からのファンキーな先行シングル。僕がスティーヴィーをちょっと見直した曲。一番新しい選曲がこれでよかった。
21 As 「永遠の願い」
ここの記事のタイトルにもしたことがある、「キー・・・」からの中ヒットだが、ジョージ・マイケル&メアリー・J・ブライジがカバーした深遠な内容の曲。アルバムでは8分近くもありエンディングが長いが、そこを利用して大勢のバックミュージシャンの紹介。
22 Another Star
やはり「キー・・・」からの、原曲7分以上のサンバみたいな大盛り上がりの曲。そのエンディングで、「またすぐ帰ってくるよ、Hope to see you soon!」
僕はこの曲をはじめて聴いたときからずっと、どこかのプロレスラーが入場テーマに使わないかな、と思っていました。イノキ・ボンバイエ並に盛り上がると思うんだけどな。
そしてこの曲、基本コード進行が、Am→ G→ F→ E7、でベースが一音ずつ下がっていく単調の循環コード、これは日本人が最も好きなコード進行のひとつだといわれています。
「太陽にほえろ」のテーマ(タラちゃーん)、アニメ「デビルマン」のテーマ、ニッカだったかサントリーだったかウィスキーのCMソング、あとストレイキャッツの「ストレイキャットすとらっと」なんかがそうです。
そのままオーラス。アンコールはありませんでした。十分でした。お疲れ様。
「ファースト・フィナーレ」からの選曲がありませんでしたが。前半にちょっと主張をこめたけれど全般的には楽しめるヒットパレードという構成でした。
タイトルのStevie’s Wonderは、メリサ・マンチェスターがスティーヴィーに捧げた曲。Too Highをぱくったフレーズも出てきます。「スティーヴィーの素晴らしさ」を満喫した夜でした。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- Take It Easy~All I Wanna do(2010.09.23)
- Hang’em High(2010.03.03)
- Wake Up Everybody!(2010.02.07)
- Try to Remember/ The Way We Were(2010.01.15)
- GET READY!(2009.12.16)
「スティービー・ワンダー」カテゴリの記事
- Show You the Way to Go(2009.07.07)
- Boulevard of Broken Dreams(2007.09.28)
- Living For the City(2007.04.02)
- Abraham,Martin & John(2007.03.15)
- Stevie's Wonder(2007.02.22)
「コンサート・ライヴ」カテゴリの記事
- Take It Easy~All I Wanna do(2010.09.23)
- Hang’em High(2010.03.03)
- GET READY!(2009.12.16)
- Listen to the Music!(2009.11.20)
- Old Friends(2009.08.02)
「ソウル・R&B」カテゴリの記事
- Hang’em High(2010.03.03)
- Wake Up Everybody!(2010.02.07)
- Try to Remember/ The Way We Were(2010.01.15)
- GET READY!(2009.12.16)
- Listen to the Music!(2009.11.20)
「70年代」カテゴリの記事
- Take It Easy~All I Wanna do(2010.09.23)
- Hang’em High(2010.03.03)
- Wake Up Everybody!(2010.02.07)
- Try to Remember/ The Way We Were(2010.01.15)
- GET READY!(2009.12.16)
「80年代」カテゴリの記事
- Take It Easy~All I Wanna do(2010.09.23)
- Wake Up Everybody!(2010.02.07)
- GET READY!(2009.12.16)
- Listen to the Music!(2009.11.20)
- Saturday in the Park (Part 2)(2009.09.28)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
お久しぶりです。
TB、ありがとうございました。
いったん保留になる設定になっているので
ご迷惑をおかけしております。
スティーヴー・ワンダーのライヴは
体験したことがないのです。
セット・リストつきライヴレポ!
楽しく拝見いたしました(^^)!!
投稿: 波野井露楠 | 2010年2月11日 (木) 15時05分
波野井様、拝復、TBコメントありがとうございます。
突然再登場してすみませんでした。去年は、20年以上入院しなかった男が3度も入退院を繰り返しました。小学校の先生は、勉強を教えるのと同じくらい、生き方を教えなくてはいけないですから、ご苦労のほど拝察します。小生も同じ教師ですが、人間を教える部分は放って置いてよいといいと思っているので(無責任な言い方ですが、小生の学生になる歳で人間形成がある程度できていなければどうしようもなく、それを小生たちはどうすることもできませんから)その意味での苦労はないですが、教えること以外に勤める教育機関そのものの運営に参加させられて、これがすごいストレスになります。小学校でも同じようなことがあるのでしょうか。だったら知育、教育に加えてそんなことまでなさっている波野井さんは本当に大変ですね。
投稿: Prof.Harry | 2010年2月15日 (月) 00時31分