« Oakland Stroke | トップページ | Wild World »

2007年4月 2日 (月)

Living For the City

改編期。

新会計年度、新学期が始まり、プロ野球も始まって、テレビ、ラジオの番組も変わる。

克也さんも、長く続いた「お願い!DJ」がなくなってしまい、「ベストヒットUSA」の放送が火曜日になった。

 週末番組の印象が強いからちょっと残念ですけれど。

Ludacris_release_therapy  そういうわけで3日に放送になったベストヒットで、チャート6位で上昇中注目曲でかかったルダクリス f/メアリー・J・ブライジの”Runaway Love”について。

 今のアフリカ系アメリカ人の生活の苦境をラップに乗せた。ヒップホップの人たちがアメリカの都市部でサミットを開いて回って、意識改革を訴えていて、そんな流れで生まれたシリアスな曲だという。

 そこで思い出した曲は。

 30年前にやはり当時の黒人の苦境を歌っていた曲。

Stevie_wonder_innervisions  スティービー・ワンダーの”Living for the City”「汚れた街」。

 もう何度か取り上げたことのある、73年の名盤「インナーヴィジョンズ」からの名曲です。

 数週間前の彼の日本公演について書いたときにも触れましたが、僕が大学教師を始めた二年目、92年の4月にロサンゼルスで暴動があって、それで問題の喚起のために、授業でこの曲を聞かせて歌詞を紹介した、思い出の曲でもあります。

 ルダクリスのものと比べると、同じ苦境でも時代の変化が出てきていて面白い。

 こんな感じでした。

A boy is born in hard time

Mississippi

彼は差別の厳しい時代のミシシッピで生まれた
Surrounded by four walls that ain't so pretty

四方を小汚い壁で囲まれて

His parents give him love and affection

両親は彼に惜しみなく愛情を注いだ
To keep him strong moving in the right direction

彼を強く、まっすぐな人間に育てるために
Living just enough, just enough for the city...

街でしっかりと生きていけるように


His father works some days for fourteen hours

父さんは一日14時間、何日も働く
And you can bet he barely makes a dollar

それでもやっと1ドル稼げるか稼げないか。想像できるだろ?
His mother goes to scrub the floors for many

母さんは床磨きを何軒もはしごしてやる
And you'd best believe she hardly gets a penny

それでも1ペニー貨にもならないんだぜ
Living just enough, just enough for the city...

それでもこの街でなんとかやっていくんだ


His sister's black but she is sho'nuff pretty

姉さんは黒いけど十分に美しい
Her skirt is short but Lord her legs are sturdy

スカートは短いけど、足は丈夫だ
To walk to school she's got to get up early

学校まで遠い距離を歩いていかなくちゃ行けないから(バス乗車が拒否されるから)早起きしなければならない
Her clothes are old but never are they dirty

服は古びてるけど決して汚くはない
Living just enough, just enough for the city...

この街で生きていくには十分だ


Her brother's smart he's got more sense than many

兄さんは頭もよく、常識も人並み以上だ
His patience's long but soon he won't have any

忍耐強いけど、それでもそのうち堪忍袋の緒が切れる
To find a job is like a haystack needle

仕事探しは、まるで宝くじを当てるよう
Cause where he lives they don't use colored people

だって彼のいるところじゃ有色人種は雇わないんだ
Living just enough, just enough for the city...

それでも雇用者たちにとっちゃこの街では十分ってわけだ

His hair is long, his feet are hard and gritty

彼の髪は伸び放題、足は硬くなっている
He spends his life walking the streets of New York City

ニュー・ヨーク・シティを歩き回り続けるだけ
He's almost dead from breathing in air pollution

汚染した空気を吸って息が苦しい
He tried to vote but to him there's no solution

投票しようとしたって、そんなんじゃ解決にもならない
Living just enough, just enough for the city...

それでもこの街で何とかやっていくんだ


I hope you hear inside my voice of sorrow

僕の心から湧き出る悲しみの声を聞いてほしい
And that it motivates you to make a better tomorrow

そしてよりよい明日のために行動を起こして欲しい
This place is cruel no where could be much colder

この場所は残酷で、これ以上冷たいところはない
If we don't change the world will soon be over

我々が今、変わらなければ、世界は直ぐに終焉を迎える
Living just enough, stop giving just enough for the city!!!!

この街の状況にちゃんと目を向けてくれ

原曲は8分くらいあり、間奏部分には、ニュー・ヨークにはじめて降り立って、道を渡ろうとしたらいきなり誤認逮捕されてろくに調べも受けず10年の禁固を言い渡される黒人青年の話が寸劇で挿入されています。

この曲で描かれた時代は、貧しさ苦しさはあっても、まだ家族やコミュニティの絆が生きていたことが読み取れます。

 ところがルダクリスの曲に現れている現在のアフリカ系アメリカ人の状況とは。

ドラッグに溺れて、毎晩違う男を連れてきて、必ず喧嘩に終わるシングルマザーを見つめる少女。

義理の父親から暴力を受け、親友も路上で銃の犠牲になってしまった少女。

 麻薬とセックスの幼年化、しかし貧しくて中絶もできない少女。

 そんな10歳かそこらの女の子たちが、自分の家は地獄だといい、逃げ出していく。

 貧困に加え、暴力、麻薬、問題の幼年化、そして家族とコミュニティの絆の崩壊の点で変化が生じたことが伺えます。

Lionel_richie_cant_slow_down 最後のリクエストでかかった、ライオネル・リッチーの「オール・ナイト・ロング」も象徴的だったような気がします。

去年久々に復活し、娘も活躍するようになった彼。

80年代に最も売れた黒人男性ソロアーティストはマイケル・ジャクソンで、その次が彼でしょう。

その彼の音楽とは、「オール・・・」のようなアッパラパーなダンスナンバーか、「ハロー」のような首筋がムズ痒くなるような甘いバラード。

ディスコの時代を経て、80年代の黒人音楽とは、主流のポップスと融合、というか妥協した、ただただ聞きやすい、踊りやすいものが受け、独特のリズムや歌唱が含まれたり、黒人のアイデンティティを主張したものなどは傍流に追いやられました。スティービー・ワンダー自身も主流の路線に移ってしまいました。

それが90年代、今となって、ラップ、ヒップホップが出てきて、過激な自己主張が復活するようになる。

来年に向けて、黒人大統領候補、バラク・オバマ氏が、主流派との妥協ではなく、社会下流の主張を前面に出すことで旋風を起こしそう。

変化は周期的かもしれないけれど、今までで一番大きな波が押し寄せてくるかもしれない、そんな予感もする、新年度一発目でした。

|

« Oakland Stroke | トップページ | Wild World »

70年代」カテゴリの記事

80年代」カテゴリの記事

スティービー・ワンダー」カテゴリの記事

ソウル・R&B」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80310/8541079

この記事へのトラックバック一覧です: Living For the City:

» ・Allisfairinlove★StevieWonder [Senri'sTapestry洋楽訳詞集]
オール・イズ・フェア・イン・ラブ☆スティービー・ワンダーYouTube映像♪CDバージョンスタジオバージョンAllisfairinlove★StevieWonderAllisfairinloveLove'sacrazygameTwopeoplevowtostayInloveasonetheysayButallischangedwithtimeThefuturenonecanseeTheroadyouleave...... [続きを読む]

受信: 2008年10月13日 (月) 09時22分

« Oakland Stroke | トップページ | Wild World »