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2007年5月 1日 (火)

Message in a Bottle

424日のベストヒットUSAのオープニングでのスチュアート・コープランドのインタ。

 彼が作った映画『ポリス・インサイドアウト』が全国公開中であるという。

 小回りのよさをいかして、観てきました。

 小さな映画館での、しかも夜9時からの最後の1回回しだけ。

 

 バンドが、スティング、アンディ・サマーズ、そして彼の最強の編成になってから最初の一年は売れなかったけど、軌道に乗り始めた時期、スチュアートは8ミリビデオカメラを購入し、その後のポリスの様子を表から裏から取り続けていた。

 バンドとしての実働はたった5年間。しかし彼らは「世界征服の野望」を果たし、その後のロックにも大きく影響する存在になった。

 溜まったフィルムはのべ50時間。しかし機材も安物、80年代は一般向けの映像編集技術もまだそれほど進んでいなかった時期だし、撮影も雑で、とても公開できるようなシロモノではなく、スチュアートの本棚の中にお蔵入りとなって、彼自身もそんなものがあったことを半ば忘れてしまっていた。ただし放置しておいたのは、彼は将来、映像を綺麗にブラッシュアップし再編集する技術が出てくることを予測していてあえてそうしたのだという。

 解散して20年、映画音楽に携わるようになって、コンピューターオタクにもなった彼は、予測していた通りの編集ソフトが出てきて、フィルムのことを思い出し、今回の製作に踏み切った。

 今年になって富士フィルムが8ミリフィルムの製造、現像サービス中止を発表するなど、家電の世界ではデジタル映像撮影機にどんどん駆逐されている8ミリですが、今になってそんなものが出てくるとは、感慨もあります。

 それでも実際の映画は、オリジナル素材の粗さを克服できたとはお世辞にもいえない、というのが率直な感想です。

 色も全体的に淡いです。映像効果としてわざと淡くすることはありますが、それと違って元が淡いのは今の映像を見慣れていると違和感があるかも。彼がドラマーだったということもあり、ライブを写す場合はどうしてもスティングらは背中後方からの映像が多くなる。ファンが寄ってくる映像も、急にアップになったり引いたり、やはり素人撮影だという印象は拭い去れません。編集も粗くて、そういうアップがパッと変わる部分を見ると少し気持ち悪くなるかも。映画として観られるのは、8ミリ撮影部分ではない、コンサートなどを正面から撮影した、綺麗な記録部分があるからかも。

 普通なら個人的なホームビデオで済まされてしまう素材でしょう。しかし普通でないのが、その素材が、偉大なロックバンドの足跡を辿った貴重な映像であり、そこで資料的価値が出てくる。

 メンバーやスタッフの個人的な場面、ファンが押し寄せてくるシーンも多く登場します。最初の来日の際に語られる日本の印象が、半分笑え、半分考えさせられました。日本の女の子はキャーキャー寄って来てはプレゼントをくれる。812月、バレンタインの時期だったこともあり、冗談かもしれませんが、彼はまだその時もらった大量のチョコレートを消費しきれずにいるという。こんなに物をくれるファンは世界広しといえども日本だけだという。「ものあまり日本」といわれ始めた時期にあたります。今でもこの傾向は変わっていないのかもしれない。これでいいのかなあ。

 僕個人としてはむしろ、疾風のように時代を駆け抜けたロックバンドの、崩壊に至る苦悩の記録、として捉えました。

Police_synchronicity  触れたように実働は5年間、83年、セールスとしては最高を記録した「シンクロニシティ」のアルバムを最後に解散してしまう。

 最初は仲間同士、パンクにポップ、レゲエの要素を加え、メッセージ性も備えた新しい音楽を追求し、仲良くやっていたポリス。ベストヒットでスチュアートは「最初は俺たちはボーイズグループで、NSYNCやフォールアウトボーイとなんら変りはなかったんPolice_zeniyatta_mondatta だ」といっていましたが、映画にも出ていた”De Do Do Do De Da Da Da”のビデオで、口パクで歌いながら、雪山でスキーを楽しむ彼らを見て、なるほど、フォールアウトボーイだ、と思いました。

ところがそんなバンドも、現実とは思えない急な成功で、歯車が狂いだす。スティングは成功すればするほど自分の殻に閉じこもるようになり、他のメンバーからの意見を受け付けなくなってしまう。

Police_reggatta_de_blanc  二枚目のアルバムに既にその苦悩が表れていた。「白いレガッタ」の中の、「孤独のメッセージ」”Message in a Bottle” これは急に頂点に上り詰めて現実感を失った彼らの悲鳴であった。ビンにつめて海に流したこのメッセージ、誰でもいいから分かってくれ、と。ビートルズにとっての、「ヘルプ!」みたいな意味を持つ曲だった。

Police_ghost_in_the_machine  「ゴースト・イン・ザ・マシーン」のアルバムをモンセラート島にこもって録音したり、彼らはツアー以外では自らを現世から隔離しようとする。

 そして「シンクロニシティ」の大成功の後、逆に、もうだめだ、これ以上、何が現実か分からない生活に耐えられない、と解散。

 その、彼らにとって現実離れしてあまりにも速く過ぎ去っていった瞬間、しかしそれは同時に紛れもない現実だったのであって、こうして映像に残っていることがその何よりの証拠である。解散から20年たってやっとそういえるようになった、ということなのでしょう。

 最近の再結成は御存知の通り。来年2月には日本にも来るという。この映画のために、3人は今、ここ20年で最も緊密に連絡を取り合うようになったという。思わぬ嬉しい副産物でした。

 おなじみの曲はほとんど全て流れますが、レコードからの音源ではなく、実際に8ミリ撮影のときに同時に演奏された未発表音源が中心で、それにスチュアートが手を加えて聴けるようにしたのだという。これもファンにとっては嬉しいかも。

 5月半ばまで各地で単館系で公開は続くみたいです。

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                  スティング好きです ♪                 ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ  /  ポリス   彼のソロアルバムはは何枚か持っているし、 ポリス&スティングのベストも持っていますよ~ 1980年の 彼らの サ... [続きを読む]

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