Higher and Higher
ここ5年、毎年この時期になると日本を回っているようです。私もここで観るのは4年ぶり3回目。
1945年生まれの62歳。南部テネシー州出身、チェロキー・インディアンの末裔、いろいろな背景から「デルタ・レディ」と渾名されます。
60年代後半からバックヴォーカリストとして活躍、ジョー・コッカーやクラプトンにも見出されます。
スティーヴン・スティルスの、ヒッピー運動のテーマソング”Love the One You’re With”
(隣にいる娘とやっちゃえ)のバックにも参加していました。レオン・ラッセルと「スーパースター」を共作し、カーペンターズよりも先に録音したのも彼女。レオンもそのものずばり「デルタ・レディ」という曲を書き彼女に捧げています。
クリス・クリストファーソンと、74年から80年の間、結婚していました。
そんな多彩なキャリア、多様な音楽性を誇る彼女、以前に見たライブではインディアンの民族音楽なども取り入れていましたが今回はなく、ジャジーな雰囲気に終始していました。
1, Hallelujah I Love Him So
彼女が以前からよく歌っていたレイ・チャールズの曲からスタート。
2、We’re All Alone
以前ならば終盤かアンコールの盛り上げ時に出てきたこのナンバーがいきなり二曲目。
そう、ボズ・スキャッグスのあの曲です。
ところが、アメリカでは作者のボズのものはシングルヒットしていません。ヒットしたのはフランキー・ヴァリのものと、そしてトップ10に入れてこの曲をもっとも有名にしたのは実はリタなのです。彼女が最もノッていた1977年、日本でAORといわれたおしゃれなポップスのブームともあいまって彼女の代表曲になりました。「みんな一人ぼっち」という誤訳邦題で出てしまいました。ボズの「二人だけ」の方がいいですね。
去年の映画「ホリディ」のテレビCMにも使われていました。映画も見ましたが中では使われておらず関係ありませんでした。
最近、日本向けに今までのレパートリーをジャズ風にアレンジしてセルフカバーしたCDを出したようで、よく知られたバージョンではなくジャズっぽいアレンジで。
以降ジャズのスタンダードが続きました。
3、 Come Rain or Come Shine
40年代の「セント・ルイス・ウーマン」というミュージカル映画で使われた、ダイナ・ショアやトミー・ドーシー・オーケストラの演奏で有名な曲。
4、 Late Again
本夫のクリス・クリストファーソンの曲を必ずどこかで一つ入れます。今回はこれでした。
5、I Thought about You
またジャズのスタンダードに戻って、ペギー・リーの曲。
6、Cry Me a River
ジャスティン・ティンバーレイクではありません。クライ・ミー・ア・リヴァーといえばジュリー・ロンドンですね。
7、Sentimental Journey
松本伊代ではありません。しかし作詞の湯川れい子さんは、タイトルはこのスタンダードからいただいた、そして伊代の二曲目はプレスリーのあの曲から、と明言していらっしゃいましたが。やっぱり、ドリス・ディですよね。
8, Born under a Bad Sign
このあたりでジャズっぽいのはいったん終わって、彼女のお馴染みの曲が始まりました。彼女の初期のアルバムで録音されていたウィリアム・ベル、ブッカー・T・ジョーンズのサザン・ソウルの曲。
9、Fever~The Way You Do The Things You Do~ How Sweet It Is
彼女のファンにとってはおなじみの曲をメドレーでつなげました。Feverも彼女がずっと歌っている曲ですが、もともと彼女はどちらかといえばハスキーヴォイスですが、聞くたびに高音が苦しくなっていると思うのは私だけでしょうか。The Way You Do…は、彼女にとってWe’re All Aloneの次のシングルヒットで、テンプテーションズのカバー。ホール&オーツも85年、アポロシアターライヴ、そしてあのライヴエイドで、テンプスのオリジナルメンバー、エディ・ケンドリックスとデヴィッド・ラフィンをゲストに迎えて演っていました。そしてマーヴィン・ゲイ、ジェームス・テイラーでヒットした、同じモータウンの曲ということでうまく繋げていました。
10 Higher and Higher
最後は彼女の代表曲です。77年の今頃の大ヒットで、歌詞の内容とは関係ありませんが、やっぱり秋の澄んだ高い空を創造してしまい、毎年この時期に聞きたくなる曲の一つ。
やっぱりソウルのジャッキー・ウィルソンのカバーです。ヒットしたのはベースギターをメロディ楽器風に使って前面に出したアレンジでしたが、今回は例のジャズ・セルフ・カバー企画のアレンジで。落ち着いた雰囲気になっていました。
11 I’d Rather Leave While I’m in Love 「愛しているからさよならを」
一度引っ込んで、アンコールはこの曲でした。ピーター・アレン、キャロル・ベイヤー・セイガーのAORの名曲、彼女にとっては中ヒット。
ピーター・アレン、キャロル・ベイヤー・セイガーといえば、アメリカではメリサ・マンチェスターの歌唱で78年に大ヒットした”Don’t Cry Out Loud”を、リタは同年、日本向けにシングルで発売し、当時赤坂局が恒例行事でやっていた「東京音楽祭」の最優秀楽曲賞受賞曲となり、彼女の日本での代表曲になってしまいました。その曲そのものではありませんが、アンコールは日本向けの選曲でしょう。
秋の夜長の、カクテル片手の落ち着いたライブでした。
このコラムのバックナンバーを集めている「小林克也のRADIOBAKA 期限切れ遺失物移管所」が、使用しているニフティのブログ全体の入り口ページで紹介されました。こちら。テキスト版ベストヒットUSAだって。うっしっし。初心者にもわかりやすく解説、なんてできてるのかなあ? 本人が不思議がってどうする?
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