Where Have All the Flowers Gone?
どなたでもご存知の歌ではないでしょうか。学校の音楽か英語の時間にも出てくるような。
古いフォークソングですね。曲を書いたのはピート・シーガー。ピーター、ポール&マリーが演奏しているのを聴いて、キングストン・トリオが録音,それで広く世に知られるようになりました。1962年のこと。
そのキングストン・トリオのメンバーだった一人が、天に召されました。ジョン・スチュアート、2008年1月19日逝去、享年68歳。
現在なら同姓同名のテレビコメンテーターが人気のようですが、僕にとってはあくまでも、ジョン・スチュアートといえばミュージシャンのジョン・スチュアートです。ちょっとの時間ですが会話したこともあるんですから。
キングストン・トリオといえば、フォークのルーツ的存在。56年に「トム・ドゥーリー」という大ヒットがありました。実在した、南北戦争のときに南部側に従軍していたミュージシャンの話。戦争が終わったあと、何人かの女性と関係を持ち、結婚もしますが、その相手が刺殺されてしまった。その相手に最後に会っていた人物としてトムは嫌疑をかけられ、逃亡するが捕まってしまい、証拠不十分のまま絞首刑にされた。
“Hang down your head Tom Dooley, Hang down your head and cry…”
ジョンがキングストン・トリオに参加したのは61年からですからこの曲とは直接にはかかわっていません。
ジョンが参加したあとの「花はどこへ行った?」の大ヒット。その後のヴェトナム反戦運動のアンセムになります。
そしてジョン・スチュアートといえば、モンキーズのナンバー1ヒット、「デイドリーム・ビリーヴァー」の作者でもあります。ジョン自身も何度か録音していますが、みなモンキーズとはだいぶイメージが違うもの、やはりギター一本のバックのフォーク調のアレンジ、彼の野太い低い声で渋いです。
70年代、シンガーソングライターブームの中で、”California Bloodline” “Lonesome Picker Rises Again”などという、その筋では名盤と評価されているアルバムを発表しますが、セールス的には表舞台に立っていたというわけではありませんでした。
そんな彼がソロとして大ブレイクしたのが79年。
当時全盛期だったフリートウッドマックのリンジー・バッキンガ ムが彼の大ファンで、彼のプロデュースを買って出ます。私生活での行き詰まりを超えて音楽上でのパートナーであり続けると決心したスティーヴィー・ニックスとともに全面的にバックアップし、”Bomb Away Dream Babies”というアルバムを発表します。それまでの彼の音楽性とは外れた、洗練された、当時流行のフリートウッドマックの音に彼の野太い声が乗っかった感じ、でもこれが最大のヒットとなり、” Gold”というソロとして唯一のトップ10ヒットも生まれます。
同じ79年、アン・マレーが「デイドリーム・ビリーヴァー」をカバーしたり、日本でも確かカメラのテレビCMにモンキーズのオリジナル曲が使われて俄かブームが起こり、当時は引退して競馬騎手になっていた元メンバーのデイヴィー・ジョーンズが鳴り物入りで来日したりしていました。
ちなみに、デヴィッド・ボウイの本名がデヴィッド・ジョーンズで、彼がその名前を変えなければならなかったのはこのデイヴィー・ジョーンズがいたからでした。閑話休題。
そんなこんなで、79年、ジョン・スチュワートは結構儲けた年でした。
僕がそんなジョンに会えたのは2001年の早春。今のブッシュ大統領が就任した頃でした。
小さな会場でライヴをやってくれました。
バックは一人もいない、彼の声と12弦ギターだけ、僕が今まで観た中でももっともシンプルな構成。
観客も数十人しかいないし、コアなファンしか来ていない。そのこじんまりさを活かして、フロアからのリクエストにどんどん応えるなど、渋いながらもアットホームなライブでした。
僕はフロアから”Gold!”と叫びました。「へえ、君たちはGoldを知ってるのか」といいつつ、12弦ギター一本のみでのアコースティックな”Gold”をやってくれました。これは彼の基本に戻ったアレンジですね。
最後は「デイドリーム・ビリーヴァー」、「今の魂のない音楽に満足してるかい?」と話しかけつつの弾き語りでした。
ライヴのあと、サインをねだりに行きました(相変わらずミーハーや)。僕は”Bomb Away Dream Babies” “Lonesome Picker Rises Again”のCDを持っていました。今では両方とも貴重で、”Lonesome...”の方は日本で再発されたのみ、”Bomb Away…”の方はアメリカのマイナーな再発レーベルからほんの短期間に発売されていただけだったので、彼はそれを持っていることに感心したようで「どうやって手に入れたのかね?」といいながらサインしてくれました。
ちょうど同じ頃、NHKのBSで、「この歌に歴史あり」みたいなシリーズがあり、克也さんのナヴィゲートで「花はどこへ行った」の特集をやり、克也さん自身は取材されなかったのでしょうが、ジョンが出てきて思い出を語っていました。
ヴェトナム反戦で民主党(アメリカ)が分裂したのが1968年、なんか今年の大統領選挙の予備選挙も、それを髣髴とさせるものがあります。
その邂逅の2001年のあとのアメリカと世界に何を思って、彼は天に昇ったのでしょうか。
また一人、巨人が旅立ちました。合掌。
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