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2008年9月 5日 (金)

All Summer Long

Rock N Roll Jesus Little Deuce Coupe/All Summer Long

 ビーチボーイズにもこういうアルバムがありましたね。

もう9月、日付的には夏は終わった感じですが。

夏は長い休みもあって、開放的になれる、一番せいか、音楽を楽しめる季節かもしれません。その夏のBGM、それがその時期に一番ヒットしていてラジオでいっぱいかかっていたものか、きわめて個人的に好きだったものかにかかわらず、その夏のテーマ曲、BGMみたいなものがあるはずです。

僕にとっての08年の夏は、その名もずばり、この曲でした。キッドロックの久しぶりのニューシングル。夏を過ぎてもまだまだアメリカのチャート上位に食い込んでいそうです。

ひと夏のテーマを超えて、今年度アナミー賞最優秀楽曲を既に狙える位置にある!

826日のベストヒット、カウントダウンUSA7位に入っていたということで丸々かかりました。

実は小生、番組にこの曲のリクエストをしつこく出していたので、採用されたのだと思っています。克也さん、杉田さん、川岸さん、番場さん、ありがとうございました!

この曲は遊び心いっぱい、クラシックロックファンの心をくすぐります。

サビの部分ではレイナード・スキナード「スィートホーム・アラバマ」のイントロのギターのリフ、間奏のピアノソロのフレーズ、歌詞の一部も出てきたりします。

Second Helping

そして曲全体に流れるのはウォーレン・ジヴォンの78年の中ヒット「ロンドンの狼男」”Werewolves of London”のピアノのフレーズがサンプリングされています。Genius: The Best of Warren Zevon

レイナード・スキナードのことは書いたことがあるので、このウォーレン・ジヴォンという人に関する徒然を。あまり知られていない人でしょうから。

70年代後半のシンガーソングライター、ウエストコーストのブームの一翼を担った人。リンダ・ロンシュタット周辺の音楽版「カリフォルニア・マフィア」(この言い方には政治版がある)の一人といっていいでしょう。

ただし、イーグルスやリンダに代表される西海岸のさわやかなイメージとは異なり、彼の極、アルバムは暗く、皮肉に満ちていました。

曲に登場するのは麻薬中毒者、気の狂った兵士、大量殺人犯、強欲弁護士、そして狼男みたいな妖怪。

詞に描かれる皮肉な世界観、ちょっとやる気のなさそうな歌い方など、ランディ・ニューマンに近い感じでした。

それでも、才能は注目される。

リンダはヒット曲もカバーばかりで、アルバムカットでは西海岸の無名作曲家の曲を積極的に取り上げ、多くを世に送り出しました。J.D.サウザー、カーラ・ボノフ、アンドリュー・ゴールド、エリック・カズ、他諸々。ウォーレンもそんな中の一人でした。

60年代から無名グループで音楽活動を始め、ぜんぜん売れませんでしたが、そんな時代の彼の作品”He Quit Me, Man”が映画「真夜中のカウボーイ」のサウンドトラックに使われて少し注目されました。

Warren Zevon

その程度の中途半端な音楽活動に嫌気が差したのか、70年代初めにはスペインに移住していましたが、彼を埋もれさせておくのは惜しいと考えたのが、「カリフォルニア・マフィア」の総元締めジャクソン・ブラウン。彼をロサンゼルスに呼び戻し、アルバムのプロデュースを買って出ます。76年にセルフタイトルのアルバム Warren Zevon が作られました。

Heart Like a Wheel

このアルバムに収録された「風にさらわれた恋」”Hasten Down the Wind”をリンダが取り上げ、アルバムタイトルにもして、このアルバムからトップ10ヒットが2曲出てリンダもスターの仲間入りをし、ウォーレンにも俄然注目が集まるようになりました。そのアルバムには他にも「カルメリータ」「モハメッドのラジオ」というウォーレンの曲が収録されました。

The Very Best of Linda Ronstadt

その次の、リンダの最大ヒットアルバムとなる78年の”Simple Dreams”には「私はついてない」”Poor Poor Pitiful Me”というウォーレンの曲が収められ、三枚目のシングルカット曲に選ばれ、トップ40ヒットになりました。それとまったく同じ時期に、やはりジャクソン・ブラウンのプロデュースによるウォーレンの二枚目のアルバム”Excitable Boy”も発表され、その中から「ロンドンの狼男」がシングルカットされ、やはりトップ40に入りました。

Excitable Boy

映画「サタデーナイトフィーヴァー」の全盛期で、ウォーレンはアルバムのプロモーションのためのライヴの最中に、ジョン・トラヴォルタのダンスの真似をしてずっこけて骨折してそのあとのライヴのスケジュールがキャンセルになった、なんてあほなエピソードも残してしまいました。

でもウォーレンが商業的に成功したのはこれが最初で最後となってしまいました。その後、麻薬中毒になってしまい、作品を発表するペースも落ちてしまいますが、90年代末まで活動し、REMなどからリスペクトを受けレコーディングのバックにメンバーが参加するなどの交流がありました。

ウォーレン・ジヴォンでもう一つ思い出すのは、1991年の映画、ケヴィン・クライン、ダニー・グローヴァー、スティーヴ・マーティンなどが出演し、”Grand Canyon”邦題「わが街」。犯罪と荒廃にむしばまれた大都会ロサンゼルスに生きる6人の男女の生活が描かれ、最後に登場人物全員が導かれるようにグランドキャニオンに集まり、大自然の中での自分たちの存在の小ささを再認識する、そういった映画でした。

その中で主演のケヴィン・クライン演じるうだつの上がらない男が、交通渋滞に巻き込まれている最中に、カーラジオからウォーレンの”Lawyers, Guns and Money”「弁護士と銃と金」という曲が流れてきて、ケヴィンがハンドルを握りながら一緒に口ずさむ、というシーンが出てきます。

この曲はシングルヒットは全然していない、知る人ぞ知る程度のアルバムカット曲。それでも西海岸のロック局を聴いている人は普通の人でも歌えちゃうのだなあ、と思わせるシーンでした。

ウォーレン・ジヴォン、20038月、肺癌のため帰らぬ人となりました。享年56

まあとにかく、「ロンドンの狼男」と「スィートホーム・アラバマ」のフレーズがぴったりと合ってしまうことを発見したキッドロックのセンスに脱帽!

わが街 [DVD]

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