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2008年11月11日 (火)

Chocolate CIty

貧乏人暇なしとはよく言ったもので、いろいろ忙しく一ヶ月近くご無沙汰してしまいました(別に、暇ができたからこれを書いている、というわけではありません。これも大事なお仕事だと思っております)。

 克也さんの日記に既に取られてしまいましたが、歴史的な出来事があったわけで。

 この前までしつこく宣伝していたテレビ番組からもお分かりのように、私は本業ではその筋では中途半端に知られている奴でして。

 その歴史的な日というのも、開票進行時、アメリカでの4日夜、日本時間で5日午前10時あたりから、地元の領事館に詰めていてくれとの要請があり、関係者と共に速報に見入っておりました。

 その中に、領事館がわざわざ遠方から招いたという、福井県小浜市の市長とか市議会議員とか、「勝手にオバマ候補を応援する会」という人たちが来ていました。

 その人たちを含めて、いろいろ知ったかぶりをしていました。今度当選するであろう大統領は、名前があなたたちの町のローマ字表記に偶然一致している以上に、初めて母音で終わる名前を持つアメリカ大統領になる、と。

 ケネディとかマッキンリーはYで、これは子音扱いですね。第5代のモンローは子音と組み合わさらない二重母音です。

 あとの39人の大統領は全員文句なく子音で終わっている。

 つまり今までの大統領は、アングロサクソンと若干のアイリッシュが独占していた。白人マイノリティで、例えばイタリア系だったらFrankie Valli, みたいに必ず母音で終わりますが、今度の「黒人」大統領はそういう白人マイノリティ、褐色人種を飛び越えて、その今までアメリカの人種構成の主流派が独占していた聖域に足を踏み入れるのだ、と。

2000年代の大統領選挙人団分布は明らかに共和党にアドバンテージがあった(人口が増えている南部地域の共和党への傾斜が強い、田舎に行けば行くほど共和党が強く、山岳、高原諸州の人口過疎州では配当選挙人一人に対しての人口比が少ない、等等)ので、オバマ候補は全米で5%のリードなら接線に持ち込まれる、当選には10%以上のリードが必要、と考えていましたが、昨今の金融危機に後押し(?)されて、その10%以上のリードの状態で投票日を迎えましたので、これは確実だろう、と予想できていました。

 日本時間正午の時点で、オバマ候補がオハイオ州とニューメキシコ州を獲得したとの速報が流れ、ここでまた知ったかぶりが始まりました。これでジンクス上オバマが勝利した、と。これまで、共和党の大統領でオハイオ州を獲得せずに当選した例は一度もありません。またニューメキシコは州になって以来、二度の例外を除いて必ず最終勝者が獲得している州なんです(個人的に私は「コウモリ州」と名付けています)。それらでマケインは負けました。

 午後一時、西海岸諸州で投票が締め切られた時間、開票を待たずにCNNNBCCBSABC一斉にオバマ勝利一報を打ちました。出口調査でこれらの州はオバマ獲得が確実で、最大票田のカリフォルニアの結果で決まり、ということでした。

 そうそう、選挙前後、このコラムのバックナンバーの「小林克也のRADIOBAKA・期限切れ遺失物移管所」ですが、この間もベストヒットにゲストに出ていたベン・フォールズの一枚前のJesuslandについて書いたページにアクセスが急増しました。4年前の選挙でできたアメリカの地理的分裂を揶揄した「カナダ合衆国」と「ジーザスランド」に関する説明が、的を射ていて分かり易い、とある有名コラムニストのページにリンクされたらしいんですね。

 そこに書いてある、アメリカの分裂が解消されたわけではない、と考えています。2004年にケリー候補が勝った州は全てオバマが獲得しています。その「ジーザスランド」の中から、オハイオ、ヴァージニア、フロリダ、コロラドなどいくつかの大きな州を、金融危機や現ブッシュ大統領の支持率急落が追い風となり微妙な差で獲得できたという点が勝因だったと思われます。

 さて、その中途半端専門家が語ったコメント、地元の方々は、まだ処分なさっていなったら中日新聞6日朝刊36面をご覧になっていただきたいのですが、TVドラマなら「24」、映画なら「ディープ・インパクト」のモーガン・フリーマン演じた黒人大統領がいて、オバマの登場の地均しの役割を果たしていたといえるでしょう。

 では、音楽で黒人大統領の登場を最も早く予測してたのは誰の何という曲でしょうか?

Chocolate City

 僕の知る限り、パーラメントの”Chocolate City”です。ジョージ・クリントン(この人の名前も考えてみれば因縁がありますね。前々大統領と同姓である以前に、第三代副大統領と全く同名です)率いるP-Funkの一団。克也さん曰くヒップホップ登場以前に最もヒップホップだった人たち。70年代以来、ファンクの音楽とスタイルにものすごく影響した人たちですが、その曲自体は1975年、R&Bチャート24位、ポップチャート96位というマイナーなヒット曲。しかし、今聴いてみてもあらゆる意味で先進性を感じさせます。75年の時点でリズムボックスオンリーで、しかもラップの魁みたいな、ジョージ・クリントンの語り(?)のみで曲が進行します。Chocolate City、つまり黒人が牛耳る都市が、どんどん増殖している。首都のワシントンも黒人人口比が非常に高い。

We've got New York, we've got Gary, Somebody told me we got L.A.And we're working on Atlanta But you're the capital, CC

俺たちはNYもギャリー(インディアナ州)も占領した。ある筋によればロサンゼルスも手中にした。今はアトランタに着手しているところだ。ところが、今度は合衆国首都だぜ!
They still call it the White House But that's a temporary condition, too

 奴らはまだ「ホワイト」ハウスなんて呼んでいるけどそれも一時的状況に過ぎないぜ!

And don't be surprised if Ali is in the White House
Reverend Ike, Secretary of the Treasure
Richard Pryor, Minister of Education
Stevie Wonder, Secretary of FINE arts
And Miss Aretha Franklin, the First Lady

モハメッド・アリがホワイトハウスの主人になっていても驚く必要はないぜ

アイク牧師(70年代に活躍したテレビ伝道師)が財務長官、リチャード・プライヤ(コメディアン)が教育長官、スティービー・ワンダーが芸術長官、そしてアレサ・フランクリンがファーストレディーだ!

この曲の構図はあくまで白人に対する黒人、です。

初めての黒人大統領のオバマ。しかし彼は奴隷の先祖の血を継いでいる訳ではなく、父親はムスリム、義父はインドネシア人、母親はカンサス生まれの白人。単純な肌の色の問題ではなく、アメリカそのものの多様性を象徴するような存在です。アメリカの低俗なネットの書き込みを見ると、やはり、黒人だということで差別的な表現が多く見られますが、その分断されていたアメリカを、多様性を認めた上で再統合する役割を期待したい。いずれにせよ、歴史の大きな転換点を感じさせられる今日この頃です。

そんなこんなで忙しいと言いながら、ライヴリポートネタもたまっていますので、ぼちぼち小出しにしていきたいと思います。

筑紫さん、あなたは、あなたが好きだったあの国の歴史的な転換点をちゃんと見届けてから、旅立たれたのでしょうか?

たった一度、國弘先生との席でご一緒させていただいて、カツ丼を注文しましたが、貧乏学生だった小生、「実は、金が足りないんです」というと「しょうがねえな、俺が出してやるよ」といって払って下さった筑紫さん。そのときも、楽しそうにワシントン特派員時代の思い出話をしてくださった筑紫さん。いつか、お返しができればと思っていたのですが、やはりできませんでした。申し訳ない気持ちでいっぱいです。そのときのことはずっと忘れませんし、あなたが書いたこと、言ったことから多くのことを学びました。ありがとうございました。お疲れ様でした。安らかに。

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