Time Machine-1984
往年のベストヒットUSAのタイムマシーンのコーナー冒頭の、克也さんの雄たけびみたいですね。
知らない若い方々のために念のために言っておきますと、80年代のベストヒットのタイムマシーンは、今みたいに、何年前の今日は何があった、ができなくて、ある年のある一曲を紹介していたんです。
それ以前の曲の映像がなかなかなかった時代でしたからね。当時契約していたアメリカのテレビ番組SOLID GOLDの映像を流したり。克也さんもスタッフの皆さんも資料映像探しにはずいぶん苦労されたみたいです。「ボストン」が蔵の奥から見つかったときには抱き合って泣いて喜んだとか。。。
さて、でも上のタイトルは、いつものように曲やアルバムのタイトルにもなっていますから、その種明かしは後でします。お楽しみに。
今のベストヒットをご覧の方々にはお分かりのとおり、4月21日の放送ではタイムマシーンスペシャルで、25年前の1984年に戻りました。小生は大学の音楽研究サークルでバリバリやっていた時期でした。
当たり前のことですが、ある特定の二つの時期をピックアップして比較してみて、似ている部分もあれば違う部分もあります。小生はまず番組を見て、84年と今とはかなり似ているのではないか、と感じました。その似ている部分とは?
克也さんは、「このアーティストは知っているけれど曲は知らなかったよー、ってのが多くありませんでしたか?」とおっしゃっていましたが、それはなぜでしょう?
その謎をとく鍵は以下のクイズで。
その1984年4月20日付けチャートに入っていた以下の曲にはある共通点があります。それは何でしょう?
19位 Pretenders “Show Me”
17位 Yes “Leave It”
16位 Hall & Oates “Adult Education”
14位 John Cougar Mellencamp “Authority Song”
12位 Kool & the Gang “Tonight”
9位 Denniece Williams "Let's Hear It for the Boy”
7位 Culture Club “Miss Me Blind”
2位 Lionel Richie “Hello”
20曲中8曲ですが、さて共通点とは?
答。これらは全て、そのアーティスト(一部サントラ)のアルバムからの2枚目以下のシングルカット曲、つまりアルバムのリーディングヒット曲ではない曲、なんですね。
ついでにもう一問。では以下の曲の共通点とは?
14位 John Cougar Mellencamp “Authority Song”
13位 Go-Go’s “Head Over Heals”
12位 Kool & the Gang “Tonight”
11位 Steve Perry “Oh Sherry”
9位 Denniece Williams "Let's Hear It for the Boy”
7位 Culture Club “Miss Me Blind”
6位 Cars “You Might Think”
5位 Rick Springfield “Love Somebody”
4位 Kenny Loggins “Footloose”
2位 Lionel Richie “Hello”
今度は20曲中半分、これは一枚目のシングルカットも含めて、3曲以上トップ20に入るシングルヒットを出すアルバムからの曲です。
これらのことから何がわかるか。
この当時は、一枚のアルバムからシングルヒットが何枚も出てくる、曲のばら売り時代だったんですね。
その理由は簡単で、ビデオ、MTVの最盛期だったからです。
オンエアされた”You Might Think”のビデオ、今見ても凝ってますし、アワードを獲るのも当然ですね。あと”Leave It”のビデオはあのゴドレイ&クレームの作品です。
この日のチャートにはたまたま入っていませんでしたが、ヒューイ・ルイス&ニュースもアルバム「スポーツ」から4曲のヒットを出していた全盛期だったのですが、やはりこの時期の近辺に克也さんがサンフランシスコに赴いての取材インタで、「70年代のコンセプトアルバムみたいな時代を懐かしく思わないかい?」という質問に「曲のばら売りはみんなビデオのせいなんだ。一曲毎に作るから」と答えていました。そのとおりの時代だったんですね。
84年はほかにもシンディ・ローパー、ティナ・ターナー、マドンナなんかが一枚のアルバムから4曲以上シングルをヒットさせていた時代でした。
この部分は、今現在の時代に似ていると思うのです。
ニッケルバック、ドートリーなんかが、一枚のCDから何曲もヒット曲を出し、一枚で数年もたせていたりします。
しかし、84年と今が異なるのは、メディア(媒体、手段、という意味)が違うという点ですね。
現在のばら売り現象の原因も明らか。今はデジタル・ダウンロードの時代だからです。
アメリカのアマゾンのサイトを見れば、特定のCDのページに、収録曲全曲が曲別に、一曲いくら、で売っています。日本からは買えませんが。日本には日本の中で皆さんご存知の別の手段があるでしょう。また、そろそろCDではなくUSBスティックのみで売り出すアーティストも出てくるという。
84年は、CDはそこそこ出ていましたが、まだ塩化ビニールの時代でした。LPレコードは、針が内側になればなるほど溝の感覚が細くなり音質が悪くなるので、A面B面の最後の曲は多少手を抜く、みたいな不文律があったそうですが(山下達郎氏弁)、今は新しいアルバム製作にはその度毎にグレイテストヒッツアルバムを作るんだ、みたいな意気込みが必要な時代になっているんだと思います。
さて、もう一つクイズ。これは答に主観が入りすぎているので怒られるかもしれませんが、以下の曲、というよりアーティストの共通点とは?
17位 Yes “Leave It”
16位 Hall & Oates “Adult Education”
12位 Kool & the Gang “Tonight”
11位 Steve Perry “Oh Sherry”
9位 Denniece Williams "Let's Hear It for the Boy”
4位 Kenny Loggins “Footloose”
2位 Lionel Richie “Hello”
1位 Phil Collins “Against All Odds”
答、これらのアーティストは、本来は別に音楽のルーツを持っていて、少なくともデビュー時はスタイルが全く違っていたのが、この84年は商業路線に走ってポップになって軽くなったり、バラードに手を染めたり、サントラに走っていった人たちだといえます。他にもこの時期のシカゴなんかがその代表選手ではなかったでしょうか。まあ、売れて何ぼの世界ですし、時流に合わせることができるのも才能の一つですしね。それに何よりもリスナーとして楽しませてもらえましたし。どうこう言う気はありませんが(既に言っているか)。
そういう時代だったんですね。そんなことにいろいろ思いを巡らせることができた特集でした。またやってください。
そうそう、それで、タイトルの説明。
Time Machineとは、今のベストヒットのタイムマシーンのコーナーで、克也さんが登場するバックにかかっているギターのカッティング。あれはグランド・ファンク・レイルロードのTime Machineという曲なんですね。そういうのを知っている克也さんかスタッフのどなたか、流石だと思います。
ちなみに、番組創成期からずっと使われ続けているスター・オヴ・ザ・ウィークのタイトルバックにかかる、ファンファーレみたいなのは、マイケル・ジョンソンという、これまたフィリピン人や前長野県知事さんが好きそうな(前回の記事を読んでください)シンガーの“You、You, You”という曲のイントロです。”You Can Call Me Blue”というアルバムに収録されています。
あと、1984。これはまさにこの年の元日に発売になったヴァン・ヘイレンのアルバムのタイトルで、同名の曲も収録されていました。「ジャンプ」が入っているやつです。
考えてみれば、1984年とは、ジョージ・オーウエルによる未来小説の舞台で、ヴァン・ヘイレンのそのアルバムもそれを意識したものでした。ビッグ・ブラザーという独裁者に監視される世界を想像したオーウエルと、実際に1984年を迎えてどこまで現実になっているか、などという検証がいろいろなマスメディアでされていました。その84年も、プリンスが歌った1999年も、歴史になってしまいましたね。
そうそう、前回の記事で思い出せなかった、草彅剛、瀬戸朝香のテレビドラマのタイトルですが、あの記事を読んで下さっている希少な方々のお一人から、「成田離婚」であるとの御教示を受けました。ありがとうございました。お詫びして訂正いたします。草彅さん、いろいろありましたが、これもノーコメントで。まあ、もし自分を偽った姿で仕事をなさっているのだとしたら、ストレス溜まりますよね。
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