Graceland
今週はやっぱりこれか。
平成のワンマン宰相、任期切れの勇退を数ヵ月後に控え、最後の訪米へ。
思い起こせば首相就任の6年前のその日、「♪なんてったってアイドル、なんてったってコイズミ、って知ってる?」と賜っていた。
選挙の時には X-JAPANの曲をバックに、ちょっとナルシシズムが入っていたテレビCMを流していた。
そして、無類のプレスリーファンを自認し、自らの選曲、自らライナーノーツに筆を取ったCDまで出た。
最後の訪米は念願のプレスリーの聖地参りを実現させて、なんと世界の最高権力者たる、そのメリケン国大統領も同伴した。
その大統領専用機エアフォースワンに乗ってワシントンからテネシー州メンフィスへ。外国首脳が大統領専用機に同乗を許されたとは破格の待遇かもしれない。
しかもその機内ではご丁寧にプレスリーのヒット曲しか入っていない特注ジュークボックスが配備され、プレスリー主演映画も上映されたという。「ラヴ・ミー・テンダー」や「冷たくしないで」がかかっていたらしい。
ホワイトハウス報道官は「大統領と首相はエルヴィスが“埋葬されているとされる場所”で会談を持ちます」と発表した。
数回前にポール死亡説のもろもろについて書きましたが、この人に関してはいまだに「生存説」を信じてやまない人が多くいらっしゃるようで、政府高官もそんなことにまで配慮しなければならないのでしょうか。
エルヴィスが亡くなった数ヵ月後、ぞっとする情報が流れた。いったん死んだ細胞を全部蘇生させて生き返らせたという、ただし彼は生前の記憶を一切なくしていて言葉も喋れない、脳神経系統にどんなに刺激を与えてもダメ、彼に記憶や言語能力を甦らせられたら破格の賞金を用意する、という(確か克也さんの「ワールド・ミュージック」の情報コーナーネタだった)。
映画でも、「ロボコップ」には、エルヴィスの格好をしたミイラが展示されている博物館か何かの場面がありますし、「メン・イン・ブラック」では、トミー・リー・ジョーンズがエルヴィスを聴きながら「エルヴィスは死んでない、故郷の星へ帰っただけだ」と言うシーンがある。あの映画では、マイケル・ジャクソン、シルヴェスタ・スタローン、デニス・ロドマン、人間離れした格好をしたり活躍をしたりしている人は、実は宇宙人が化けている場合が多い、という設定でしたから。
ワンマン宰相は、記者会見でも I Want You I Need Youの一節を歌ってみせて、アメリカの人たちへの惜別として “Thank you very much for love me tender”とおっしゃった。文法ぼろぼろ。Thank you very much for loving me tenderとちゃんと言っても、捩りだってわかってくれますよ。
なんかいい気になって鼻についてたなあ。最近の牛肉輸入再開や、米軍基地移転問題、同盟強化でお土産をいっぱい持っていって、世界唯一の超大国と大の仲良しを演出したかったんでしょうけど。
その世界の超大国は、今世界で最も嫌われている国でもあるんだよ。
大統領にエルヴィスの聖地に連れて行って貰って歓待を受けたって思ってるかもしれないけど、メキシコ大統領とはオハイオ州トリドに一緒に行ってるし、ポーランド大統領とはデトロイトに行ってる。大統領が他の国の首脳をエアフォースワンに乗せるのは何も珍しいことじゃないし、今の大統領は年の半分以上は首都のワシントンに居ないという珍しい大統領、その一環でもあるんだよ。
それに、それらは選挙絡みの票取り活動でもある。それぞれメキシコ系、ポーランド系住民が多い場所にしっかり行っている。コイズミ君が来ても喜ぶ票田は別にないから、そんじゃしょうがねーから彼の好きなところに連れて行ってやるか、てなところが本当じゃないの?
それにブッシュ君は、例えばサイクリング好きで知られるデンマーク首相が来るとキャンプ・デービッドで二人乗り自転車でツーリングをやってみせる。お客の趣味に合わせるのは日常茶飯事なわけ。
それに、重要な同盟国の代表が来たなら、議会で演説に招かれても不思議ではないのに、それはなかった。議会の中で例の神社参拝を問題にした議員がいて、アメリカの退役軍人の感情への配慮もさることながら、やはりアジアの国際関係をおかしくしているやつだから招くべきではない、ということになったという。見ている人は見ているんだよ。
それだけべったりしていながら、アメさんは結局、日本の外交筋の念願である国連安保理常任理事国入り案を支持してくれなくて、立ち消えになった。
「自分がやったことは、将来、歴史が正当に評価してくれる」なんて啖呵を切ったけど。
「格差が開くことは悪いことだとは思わない」とか。
財政赤字改善は急務なのに、「自分の任期中は消費税増税はしない」。要するに自分の人気取りで、責任の先送り。
結局あなたは、日本を世知辛くした首相、として記憶されるのではないですか。
Gracelandはポール・サイモンの86年の曲。プレスリー生誕の地に敬意を表した。同タイトルのアルバムは彼のソロとしては最大の売り上げとなりグラミーの最優秀アルバムも獲得しました。彼がアフリカ音楽に傾倒していたときで、その影響が色濃く出ていた。
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