Radio Ga Ga
2005年も押し詰まってまいりました。
一年365日、全てが何かの記念日になっています。11月22日が「いい夫婦の日」だったり、無理やりの語呂合わせも多いですけど。
12月28日は、なんと「ディスクジョッキーの日」なんだそうです。なぜかというと、「夜更けの音楽ファン、こんばんは、早起きの音楽ファン、おはよう、ゴーゴーゴーズオン」日本のDJの草分け、糸居五郎さんの命日だからだそうです。
糸居さんが引退されたのが81年で、亡くなられたのが84年。ちょうどベストヒットUSAやらMTVやらの登場の時期と重なり、音楽の受容方法の変化を象徴していたようです。
糸居さんはアメリカのDJよりもモア・ミュージック、レス・トークに拘り、選曲も自分、皿回しも自分、一曲でも多く曲を紹介するのがDJの務め、を座右の銘として、リスナーからの投書も音楽と関係なかったら一切読まない、そんなスタイルを貫いた人でした。
このDJというスタイル、アメリカ発信の文化かと思いきや、なんとルーツは日本なんだそうです。ラジオドラマとスポーツ中継が中心だった1930年代のアメリカの「ラジオ黄金時代」に対して、NHKが海外放送を始めたのが1935年で、その反響がすぐニューズウィーク誌にこう紹介されたそうです。「日本の放送は面白い。音楽あり、お喋りあり、天気予報あり、ディスクジョッキーとでも名付けてはどうか?」
安上がりの放送形態にアメリカの数多くの放送局が飛びついてあっという間に広まって定着して、それが60年代になって日本に逆輸入されたのだという。
デーモン小暮閣下が、「聖飢魔ⅡがKISSの真似をしている?KISSのメイクアップは日本の歌舞伎をヒントにしているのだ、我輩たちが本流だ」とかつて言っていたのに似てるかな?
現在、このDJという言葉の意味そのものが変わりつつあるように、糸居さんの時代も、音楽に拘った糸居さんのスタイルから、ラジオが喋り中心に変わって、ラジオ・パーソナリティなんて言葉もできたりして、悩まれたのかもしれません。
二回前に引用した、アルクのFENガイド別冊の21年前の克也さんのインタビューで、克也さんのDJ観にも触れられていたので、また抜粋します。
問:克也さん自身はDJという職業に対する憧れはあったんですか?
克:十代くらいではありましたけど、今はDJはダサいって、長年DJをやってる人が思っていますよ。昔に比べてナウい商売じゃないってね。
問:どうしてですか?
克:給料よくないしね。アメリカのDJも、ほんの氷山の一角の人が年に1億とか2億とか稼いでいるけど、後はたかが知れているしね。アメリカは電波社会だから放送局も1万個くらいある。だから田舎の放送局に行くと、校内放送みたいな感じで、日曜日なんて誰も聴いてない。レコードも、すべて録音されているテープを回しているだけ。で、時間が来ると、地域のミニニュースを言ったり、「何とか商店で大売出し」みたいなコマーシャル流したりしている。だからDJは簡単に誰でもやれるけど、いい商売じゃないんですよ。本当に有名になった人にとってはいい商売だけど。
僕が憧れていたのはアメリカのDJだけど、英語がわかってくると、結構くだらない仕事だな、と思ったのね。日本とアメリカはシステムが違うから比べること自体バカらしいけど、日本じゃアイドル歌手がやってるからね。DJやって食っていけないし、やること自体がおかしい。だから、DJは一つの目標だったけど、人生の目標はいろいろあっていいと思う。DJをバカにできるころは違う目標がありますよね。例えば俳優やってる人が、今度は演技してもダサくなって監督になろうとするんですよね。そういう意味で目標が変わっていく。
問:わかります、その気持ち。
克:だから僕にとって、もうDJは憧れじゃないんです。
同じ頃、渋谷陽一氏も似たようなことを言っていました。
「DJになりたい、と若い人からよく相談を受けるが、こう答えている。日本にDJという職業は存在しない。僕はDJじゃない、雑誌編集者だ。他のDJと呼ばれている人は、タレント、ミュージシャン、アナウンサーが片手間でやっているだけだ」
確かに、糸居さんも正式な肩書きはニッポン放送アナウンサーだったかも知れない。克也さんは何だったんでしょう?
その後、80年代半ばから日本でもFM局がやや増え、DJを中心に活動する人も増えましたが、結局彼らもそれ以外のタレント的な仕事に手を広げている人がほとんどで、中途半端な状態は変わってないように思います。でも別にアメリカのスタイルがいいとは思いません。ディック・クラークもウルフマンも他に商売の手を広げていたわけですし。でも、誰でもできる敷居の低さは、音楽が好きな人にとっては魅力かもしれません。
今年の最後はクイーンも来たことですしあの曲で閉めましょう。
Radio, what’s new? Radio, someone still loves you.
パラノイア阿南でした。皆様、よいお年を!
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